元政治学者の どこ吹く風

アカデミックな政治学者には語れない日本政治の表と裏を元政治学者が大胆に論じ、将来の日本の政局を予測する。

21日解散、8月30日投票で首相と与党が合意

21日解散、来月30日投開票=衆院選日程で合意−首相・与党
 麻生太郎首相は13日午後、首相官邸で自民、公明両党幹部と会談し、連休明けの21日にも衆院解散に踏み切り、衆院選の日程を「8月18日公示−同30日投開票」とすることで合意した。首相は「貨物検査特別措置法案など重要法案が残っており、全力を挙げて成立させてほしい。しかるのち来週早々に民意を問うことにしたい」と表明した。
 首相は当初、14日にも解散を断行し、「27日公示−8月8日投開票」の日程を模索していた。この時期の解散を見送れば、「麻生降ろし」が一気に加速すると判断。直ちに解散に打って出ることで、主導権を確保する狙いがあった。しかし、東京都議選自民党惨敗を受け、同党内や公明党では衆院選先送りを求める声が大勢となっており、首相もこうした意見に配慮して投開票日を遅らせることで妥協したとみられる。
 ただ、21日の解散日については国会審議次第で、数日程度ずれ込む可能性もある。自民党内の首相に批判的な勢力が、都議選敗北の責任を追及して、首相による解散に抵抗する事態も予想されそうだ。 
 首相は13日、官邸で自民党細田博之幹事長、大島理森国対委員長公明党太田昭宏代表、北側一雄幹事長らと相次いで会談し、衆院選日程への理解と協力を求めた。太田氏は「総選挙ということなら、自公一致して頑張っていこう」と応じ、受け入れる考えを示した。この後、同氏は記者団に「都議選と衆院選はある程度間隔を空けた方がいいと主張してきた。そういう点では選択肢の一つではないか」と指摘した。
 首相は12日夜、河村建夫官房長官に電話で「自分が解散することに変わりはない。党内の意見を集約してくれ」と指示。これを受けて河村長官は、各派閥の幹部に首相の意向を伝えるなど、調整に入っていた。
 自民党町村派は13日午後、森喜朗元首相、町村信孝官房長官安倍晋三元首相ら幹部が協議し、首相の判断を尊重することを確認した。
 一方、衆院選へ自信を深める民主党は13日午後、鳩山由紀夫代表ら幹部による協議後、社民、国民新両党との3党幹事長会談を開く。自民党内情勢を分析するとともに、内閣不信任決議案の提出時期について最終調整する。鳩山氏は同日午前、不信任案と併せて検討している参院への首相問責決議案提出について「同時でなければならないということでもない」と記者団に語り、時期をずらすことを示唆した。(2009/07/13-14:16)
http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=pol_30&k=2009071300341

この日程どおり行くかどうかは状況次第だが、ひとまず与党の政治的統合が図られた形である。(ただし、ずれたとしても28日までに解散、9月6日投票だろう。)

これで総選挙までは、自民党からの離党者はあまり出ないのではないか。

ひとまず無難な総選挙日程が見えてきてしまったので、この期に及んで集団離党するエネルギーを持っている自民党議員は多くないように思う。
さらに言えば、麻生氏に代わって貧乏くじを引こうという対抗馬もいないだろうから、総裁選前倒し論も収束していくように思われる。

要するに自民党は下野を前提に麻生総裁で総選挙をたたかうという選択をしたということである。
擬似的な政権交代(総裁の首のすげ替え)でお茶を濁すのと比べれば、これはこれで正しい責任の取り方といえそうである。

「破れかぶれ解散」か?

麻生首相は、自らの首相の座を維持するために、破れかぶれ解散に打って出るらしい。

だが、果たして押し切れるだろうか? 

国会で「ばかやろー」とでもつぶやくつもりだろうか。⇒バカヤロー解散@wikipedia

だが曲がりなりにも、首相として、自民党総裁としての、熟慮のうえの重大な決断である。考えようによっては、一年前に圧倒的多数の支持で自分を総裁に選んだ自民党の責任を問うことでもあり、かえって政党政治の責任を問うことにつながる。むしろベクトルは政党政治の再建という方向を向いているのかもしれない。無論そのことが自民党の分裂を引き起こそうとも、である。

14日にも解散、首相意向=「麻生降ろし」に対抗、与党の反発必至
 東京都議選自民党惨敗を受け、麻生太郎首相が14日にも衆院を解散する意向を固めたことが13日、分かった。首相は「27日公示、8月8日投開票」を想定している。首相としては、この時期の解散を見送れば、「麻生降ろし」が一気に加速すると判断。自ら解散に打って出ることで、主導権を確保する狙いがある。ただ、解散先送りを求める党内の多数や公明党の反発は必至で、首相が方針を貫けるかどうかは不透明だ。
 自民党関係者によると、首相の意向を受けた河村建夫官房長官が12日夜、各派閥の幹部に伝えた。民主党は13日にも内閣不信任決議案を提出する構え。首相はこの機をとらえ、解散を断行したい考えだ。 
 しかし、自民党中川秀直元幹事長ら首相の退陣を求める勢力が、都議選敗北の責任を追及するための両院議員総会の開催を求めて抵抗することが予想される。衆院選への準備期間を確保したい公明党も国会会期末の28日ごろへの解散先送りを主張しており、自公の選挙協力に影響を与える可能性もある。
 一方、衆院選へ自信を深める民主党は13日午後、鳩山由紀夫代表ら幹部による協議後、社民、国民新両党との3党幹事長会談を開く。自民党内情勢を分析するとともに、内閣不信任決議案の提出時期について詰める。(2009/07/13-05:35)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009071300037

今回の都議選の結果に基づいて、解散総選挙となった場合の選挙結果について、時事通信が東京都内の小選挙区でのシミュレーションを試算しているので載せておく。

民主の15勝10敗=都議選結果で試算−衆院小選挙区
 12日投開票された東京都議選の結果に基づき、各党候補者の得票数を東京の衆院25選挙区ごとに再集計したところ、民主党公認・推薦候補の得票数の合計が、自民、公明両党の得票数を15選挙区で上回ったことが分かった。また、民主党比例代表東京ブロック(定数17)で、8議席を獲得する計算となる。
 試算によると、民主党は全25選挙区で自民党より得票が多かった。自民党公明党の得票数を合わせても、東京2区、5〜11区、18〜23区、25区の15選挙区で民主党に及ばなかった。この中には、現行の小選挙区制で過去4回行われた衆院選で、自民党が一度も敗れたことのない8、10、11、23、25の5選挙区も含まれている。 
 民主党の候補が未定で公明党が都内で唯一、候補者を擁立する12区は、与党側が民主党を上回ったものの、6500票余りの小差だった。
 一方、比例代表での民主党以外の獲得議席数は、自民党が5、公明、共産両党が各2議席だった。(2009/07/13-05:51)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009071300038

衆院小選挙区での勝敗
     与 党  民 主
東京1区  ○
  2区       ○
  3区  ○
  4区  ○
  5区       ○
  6区       ○
  7区       ○
  8区       ○
  9区       ○
  10区      ○
  11区      ○
  12区  ○
  13区  ○
  14区  ○
  15区  ○
  16区  ○
  17区  ○
  18区      ○
  19区      ○
  20区      ○
  21区      ○
  22区      ○
  23区      ○
  24区  ○
  25区      ○
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009071300039

とりあえず、月曜日には不信任決議、火曜日までには解散というラインで動くようだ。

自民党は分裂含みの展開となる。分裂か、麻生退陣かのせめぎあいになるだろう。

また、解散ということになれば、重要法案は通せるものだけ通して残りは総選挙後にまとめて先送りという話で決着がつくだろう。

東京都議選の惨敗から麻生退陣へ

今夜は都議選に注目♪⇒http://www3.nhk.or.jp/togisen/


http://www.nhk.or.jp/togikouho/


やはり気になる東京都議選

地方公共団体の議会選挙に過ぎないという強気の見解もあるようだが、ほぼ同一のラインナップによる政党政治が展開されている以上、当然のように国政と強く連動する。


報道によると午後3時現在の投票率が29.22%で前回の25.35%を大きく上回っている。

ちなみに前回の最終の投票率は43.99%。この勢いで投票率が伸びると最終投票率は50%を確実に越え55%に近づくと思われる。

都議選、投票進む=与党の過半数、第1党焦点−深夜に大勢判明
 次期衆院選の前哨戦として各党が総力を挙げた東京都議会議員選挙(定数127)の投票が12日、約1800カ所の投票所で行われている。午後8時に締め切られ、即日開票される。大勢判明は深夜の見通し。選挙結果は、自民党内の麻生太郎首相の退陣を求める動きや、衆院解散の時期に影響を与えるのは必至だ。午後3時現在の投票率は29.22%で、前回(25.35%)を上回っている。
 党派別の立候補者数は、自民58(現有議席48)、民主58(同34)、公明23(同22)、共産40(同13)、東京・生活者ネットワーク5(同4)、社民2(同0)、諸派13(同1)、無所属22(同3)となっている。
 先の静岡県知事選など大型地方選で4連敗中の自民、公明の与党が、勝敗ラインとする過半数の64議席以上を維持できるかが焦点。都議会第1党を目標とする民主と、自民の対決結果も注目される。共産は「自公民」との対立軸を強調、地域政党生活者ネットは、生活者の視点による都議会改革を訴えた。社民は議席復活を目指している。
 衆院選の前哨戦として位置付けられる一方、経営再建中の新銀行東京への対応や、築地市場の移転問題、2016年夏季五輪招致など石原慎太郎知事の都政運営に対する各候補の姿勢を有権者が判断する機会となる。 (2009/07/12-16:19)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009071200048

選挙区ごとの詳しい選挙分析をする用意はないが、おおざっぱに結果を予想してみた。

改選前議席
自民48 民主34 公明22 共産13


投票率50%のとき
自民41 民主50 公明22 共産12

投票率55%のとき
自民32 民主59 公明22 共産11   (※民主には推薦含む)


あくまで大雑把な予測である。
投票率の伸びによる投票数の増を民主党に80%の比重で配分して、選挙区ごとの当落を予測した。

投票率は50%を確実に越えそうなので、自民党の惨敗は決定的であろう。自民党は第一党の座を失い、与党(自公)は過半数を維持できない。


敗北を前提にした上で、麻生総理はあくまで退陣するつもりはないらしい。とはいえ、どの程度の敗北を前提にしているのかはまったく不明である。

解散か退陣か首相剣が峰=カギ握る都議選、政局流動化も
 麻生太郎首相の命運が懸かる12日投開票の東京都議選。首相は直後の衆院解散、8月上旬選挙をなお模索しているが、都議選では与党の苦戦が伝えられ、自民党内の「麻生降ろし」が本格化するのは必至だ。野党による内閣不信任決議案提出の動きも加わり、政局が一気に流動化する可能性もある。
 首相は11日夜、主要国首脳会議(サミット)が開かれたイタリア・ラクイラから帰国。早速、河村建夫官房長官麻生派中馬弘毅行政改革担当相、山崎派武田良太衆院議員らと相次いで会い、党内情勢を聴取した。
 首相は、現地での内外記者会見では、衆院解散・総選挙の時期について「近々判断したい」と表明。都議選に敗北しても引き続き政権を維持する考えを強調した。武田氏らに対しても、こうした方針を伝えたとみられる。
 都議選で与党が過半数を維持すれば、首相は自らの解散判断にお墨付きを得る。逆に静岡県知事選に続く敗北となれば退陣論が強まるのは避けられない。首相が都議選直後の解散を狙うのは、こうした麻生降ろしを阻止する狙いもある。
 野党は早期解散を促すため、週明けにも内閣不信任案を出す構えだが、首相がこれを利用する形で解散に打って出ることも想定される。
 早期解散の場合、衆院選での与党の勝算は期待しにくく、実態としては「破れかぶれ解散」に近い。また、臓器移植法改正案や貨物検査特別措置法案も廃案になりかねない。反麻生勢力ばかりか首相を支えてきた派閥幹部からも解散先送りを求める声が上がるのは、こうした事情からだ。
 党内の先送り論に押されて、首相が会期末の28日ぎりぎりまで解散を見合わせれば、衆院選は8月30日か9月6日となる公算が大きい。
 一方、都議選を受け、一部の中堅・若手は15日の両院議員総会開催を求め、首相に辞任を迫る考えだ。仮に首相が受け入れれば、9月の総裁選が前倒して行われる。
 ただ、「ポスト麻生」は混とんとしている。舛添要一厚生労働相与謝野馨財務・金融相、石原伸晃幹事長代理、小池百合子元防衛相らの名が上がるが、いずれも決め手を欠く。首相が政権運営に強気な姿勢を崩さないのは、党内の「人材不足」が背景にあるとの指摘もある。(2009/07/12-00:23)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009071200005

私の予測では、都議選での自公過半数の維持はない。

自民党内で退陣論が再び一気に燃え上がるのは必至であろう。

とはいえ、重要法案の審議途中で麻生首相が「どうにでもなれ解散」に打って出ることもできないだろう。麻生太郎は、都議選がどんな結果であれ、あくまで退陣せずに国会審議を続ける決意のようである。

果たして麻生首相はいつまでもつだろうか。

昨年9月の首相就任直後の臨時国会冒頭解散という決定的なタイミングを逃したツケは大きい。それは議院内閣制の首相であるにもかかわらず総選挙を通じての民主制的正統化という手続きを欠いているが故の苦しみでもある。


参考までに昨年9月の日記をどうぞ♪
2008-09-24 - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム
2008-09-22 - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム
政治学者の予測もなかなかたいしたものかもしれない。


とはいえ日本の政党政治の再建なしにこの状況は−民主党政権になっても−変わらないのであるが。




↓↓著者渾身の書き下ろし。同感するところ大である。参考までに。

政治の精神 (岩波新書)

政治の精神 (岩波新書)

[rakuten:book:13211900:detail]

名古屋市議会6月定例会閉会

名古屋市議会の6月定例会が閉会しました。
昨日、中京大学の授業(3限目)が終わった後、携帯にメールが。。
中日新聞の記者の方からのメールでした。

河村市長の6月定例会の評価について、とくに市民税10%減税の継続審査と特別職の政務秘書の否決についてコメントを欲しいとのこと。
最近は別のことにかまけてぜんぜんニュースも追っかけてない・・・。汗

ということでまったく準備不足のまま時間もないまま放送大学のゼミ終了後に打ち上げの飲み会までの合間を縫って、記者さんに電話。とにかく準備がなかったのでまったく要領を得ない内容ですみません。。。。次回はせめて一日前に連絡ください(笑)

でもコメント載っちゃいました。汗

興味ある方は、7月8日の中日新聞の朝刊14面をご覧ください。まったく準備不足のコメントですみません。。。。

名古屋市長選で河村氏圧勝

太田よしろう  73,640
河村たかし  514,514
細川まさひこ 282,990
黒田克明    7,335

投票率 50.54%(投票者数 885,632人)

無党派層の圧倒的多数が河村氏に投票。自民支持層からも河村氏に票が流れる。
投票率が伸びた分は、完全に河村氏に有利に作用した。
圧勝である。公約の実現を見守りたい。

名古屋市長選

今回の名古屋市長選挙の得票予測であるが、投票率が45%の場合、河村40万、細川30万、太田6万といったあたりではなかろうか。

総選挙における愛知1区〜4区の政党別得票数の合計は次のとおりである(5区に含まれる中川区・中村区は除いてある)。

総選挙  2005年   2003年   2000年
投票率  67.51%   59.86%   64.45%
民主党  428976   403227   324998
自民党  344540   265510   242999(←公明党・保守党の得票も含む)
共産党   86709    81818   148890



第一に民主党基礎票優位。
第二に愛知1区に見られる河村人気。
第三に選挙公報を見る限り、政策的にも河村氏のほうが具体的でわかりやすい。
とくに「市民税減税10%」や「脱官僚」の訴えは有権者の支持を得やすいと思われる。
対する細川氏は政策に具体性が乏しいように思われる。「つながり力」や「筋肉質の市役所」などはわかりにくい。河村氏の優位は揺らがないだろう。

2009年度放送大学授業のご案内

平成21年度、放送大学の客員教員としてゼミを担当することになりましたので、ご案内します。
10月には面接授業も担当しますので、あわせてご案内します。

場所は、放送大学愛知学習センター 地図はこちら。
放送大学への入学案内はこちら ※平成21年度第1学期学生募集は2/28までです。



《ゼミのご案内》

2009年度第1学期
高橋ゼミ「政治学ゼミ−日本政治の現実について考える−」(4/7〜6/30の火曜日午後)

小泉旋風はもはや過去の話となり、日本の政治は安倍政権の挫折から福田政権の崩壊、麻生政権への完全なる不信へと迷走しているかのようである。いわゆる「ねじれ国会」という状況の下で、日本の議会制のありかた、競争的政党制や責任内閣制のありかた自体が揺らいでいるようにも見える。
2005年9月11日の郵政選挙からはや4年、今年9月までには総選挙が実施される。今通常国会で予算が通過した後は、政局は一気に解散・総選挙へと向かっていくだろう。
第1学期のゼミでは、現在進行中の日本政治の現実を題材に、政局関連の本なども取り上げつつ、日本政治の現実をどう見たらよいのか、ゼミ参加者と一緒に考えたい。自民党システムの今後、総選挙後の政局、政界再編と政党制のゆくえ、議会主義と内閣制、民主主義をめぐるテーマについて討論したい。ゼミの進め方についてもゼミ参加者の関心や意見を踏まえつつ決定したい。

(ゼミ予定日 4/14,28,5・12,26,6/9,23,30)
(学習相談予定日 5/19,6/16,7/14)(※時間はすべて15:00〜16:30)


《面接授業のご案内》

2009年度第2学期

日時:2009年10月17日(土)〜18日(日)
科目名:「現代日本の政治と責任内閣制」Contemporary politics and responsible cabinet system in Japan
講師:高橋肇名古屋音楽大学准教授)

授業概要:現代日本の政治について講義します。主に1970年代以降の政治を扱います。1970年代のオイルショックと経済成長の終焉、財政危機と1980年代の自由主義改革、1990年代からの自民党一党優位体制のゆらぎと連立政治、橋本行革から2000年代の小泉改革へ、さらに安倍政権の挫折と政権交代のゆくえなどを考察します。競争的政党制と議会主義と責任内閣制のあり方について考えます。成績判定は出席状況のほか、レポートの評点により行います。

17日(土)9:30〜16:40 18日(日)9:30〜16:40
場所は、放送大学愛知学習センター 地図はこちら。

シラバスにはちょっと小難しく書いてありますが、一般向けにわかりやすくお話しする予定です。
その後の政局の展開を踏まえ、安倍政権の挫折から福田政権、麻生政権にいたるまでの自民党システム崩壊のプロセス、さらには2009年総選挙と政権交代が責任内閣制の確立にどういう影響をもたらすのか、などについても考察したいと思っています。

麻生退陣から選挙管理内閣へ?

まずは、麻生内閣への支持率続落のニュースから。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/200494/
 麻生太郎内閣の支持率が、9月末の政権発足当初の44・6%から約17ポイント以上も下落し、27・5%と3割を割り込んだことが1日、産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で分かった。不支持も58・3%と6割に迫って「支持」「不支持」が逆転し、麻生首相に対する厳しい世論が感じられる結果となった。
 麻生首相民主党小沢一郎代表のどちらが首相にふさわしいかを聞いたところ、これまでの調査では首相に圧倒されていた小沢氏(32・5%)が逆転し、首相(31・5%)を1ポイント差ながら上回った。
(以下略)

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/200643/
 首相の支持率が政権発足から約2カ月で約17ポイントも急落したのは、「人柄」「指導力」「改革意欲」「言動」といった「首相の資質」をめぐる問題がクローズアップされたからだ。また、米国発の金融危機を受け、日本経済の低迷感が深刻化する中で、緊急市場安定化対策や平成20年度補正予算案を次々に打ち出したとはいうものの、約7割の回答者が景気対策を評価していないことも、支持率を押し下げた。
(以下略)

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/200733/
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/200735/


そんな中、小沢氏は「超大連立」選挙管理内閣の構想に言及しはじめた。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/200327/
 民主党小沢一郎代表が11月28日に党首討論を終えた後、「(次の政権は)超大連立だ」と麻生政権後の政界再編を念頭に、自民、公明両党との連立も視野に入れた政権構想を語っていたことが30日、分かった。
 民主党幹部によると、28日夜、小沢氏は鳩山由紀夫幹事長、新党日本田中康夫代表と都内のすし店で会食した。その席上、小沢氏は「(麻生政権は)長くはもたない。通常国会をいつ投げ出すんだろうな」と述べた。その上で、「いずれにしろ、(次の政権は)選挙管理内閣になる。全党入れた内閣になるかもしれない。超大連立だ」と語ったという。
(以下略)

ただし、小沢氏はこの報道を否定しつつ、次のように述べている。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2008120100621
 民主党小沢一郎代表は1日午後、埼玉県熊谷市内で記者団に対し、麻生内閣について「こんな調子でそう長く持つとは誰が見ても思えない」と述べ、近く衆院解散か退陣に追い込まれるとの見方を示した。その上で、「退陣になれば、また頭だけ代えた自公政権はあり得ない。次の内閣は選挙管理内閣として選挙をすることが仕事になる」と語った。
 小沢氏は、先月28日の鳩山由紀夫幹事長らとの会合で首相退陣後に与野党参加の「超大連立」政権構想に言及した、との一部報道を否定。ただ、「(会合では)選挙管理内閣で総選挙ということであれば、各党とも意見は一致するだろう。自公がまた、たらい回しで政権を取ることはあり得ない、と言った」と説明した。 
(以下略)

この構想をめぐっては、こんな記事も出ている。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/201094/
民主党小沢一郎代表が提唱した与野党の「選挙管理内閣」構想が、与党側の動揺を誘っている。構想が現実化する可能性は低いものの、自民党分裂の「引き金」になりかねないためだ。小沢氏は今後も、麻生政権が早晩行き詰まるとみて、第2、第3の矢を放つ構えだ。
(中略)
 小沢氏も1日、埼玉県熊谷市で記者団に対し、首相が退陣した場合の政局展望について「『選挙管理内閣』となれば、各党とも衆院選(を実施すること)で意見が一致する」との見通しを示した。
 麻生政権は、定額給付金などの政策課題で二転三転したうえ、首相自らの相次ぐ失言・放言で、求心力が回復する兆しはみえない。塩崎恭久官房長官渡辺喜美元行革担当相ら自民党の中堅・若手も、20年度第2次補正予算案の今国会提出を見送った首相に対する不信感を公然と口にするなど、党内の混乱ぶりは深刻化するばかりだ。
 小沢構想には、こうした自民党の混乱を増幅させて解散風を煽(あお)る狙いがあるとされる。これにより、選挙地盤が安定せず「逆風選挙」を警戒する自民党の一部議員を政界再編に走らせ、自民党を分裂状態に追い込み、「小沢氏の究極の目的」(自民党幹部)とされる同党解体に持ち込めるとの読みがある。
 実際、公明党幹部は「小沢氏が自民党の中に手を突っ込み始めたということではないか。彼の得意な手法だ」と警戒感を隠さない。
 与党側が小沢氏の言動に神経をとがらせるのは、今回の構想に加え、小沢氏が与謝野馨経済財政担当相と囲碁を通して交友を深めているとの事情がある。「『与謝野暫定政権』をつくろうとしているのではないか」(自民党中堅)と、自民党内で過敏な反応が出るのも、小沢氏の仕掛けに対する不安感の裏返しだ。
 また、菅直人代表代行も加藤紘一山崎拓両元幹事長と接触しているうえ、前原誠司元代表も「中川秀直元幹事長とは会っている」と周辺に漏らしている。
 民主党幹部は、「自民党分裂を導き出すシナリオは深く、静かに進んでいる。衆院選前後は政局の主導権を握れる」と語る。剛腕な政治手法で知られる小沢氏が、政府・自民党をどこまで追い詰めることができるのか。「小沢戦略」は、これからが正念場だ。

ところで、総選挙後の「大連立」構想と総選挙前の「超大連立」選挙管理内閣とは性格がまったく違うので注意が必要だ。

たとえば、自民党渡辺喜美氏は次のように述べているが、総選挙後の大連立は「願望」としてはともかく現実的には可能性はきわめて薄いと思う。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2008120100630

この構想はおそらく、以前の記事で紹介した中曽根氏の構想に近いものである。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111500229

だが、この構想は自民党が分裂しないまま政権を維持することを前提とした「願望」の域を出ていないように思う。



さて、政局はどう動くだろうか。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/201030/
 政局の見方はほとほと難しい。「麻生vs小沢」の攻防戦は、いま、どちらに有利に展開しているのか。久々の党首会談では民主党小沢一郎代表に軍配が上がったようだが、今後の政局を俯瞰(ふかん)すると、苦しくなるのは小沢氏のほうではないかと見る。
(中略)
 メディア調査による内閣支持率は急落しているが、政党支持率では自民党民主党を上回るケースも多い。麻生首相の放言、失言など一時的な「人気ダウン」に目を奪われると、政局展望を見誤ることになりかねない。
 麻生首相が第2次補正予算案をこの臨時国会ではなく、1月早々に召集する通常国会に提出する方針を打ち出したことは何を意味するか。これによって、第2次補正予算案に続く来年度予算案、関連法案の成立まで、「60日規定による衆院再可決」を計算に入れて、来年5月連休明けごろまでの政治スケジュールが出来上がったのである。
 表面的な見方とは裏腹に政局は「麻生ペース」で進んでいるとみていい。小沢氏に、この状況をひっくり返す秘策はあるか。(客員編集委員 花岡信昭

・・・と、こんな見方もあったりする。

要するに、麻生政権も手詰まり状態だが、野党側にも解散に追い込む決定打がないという状況には変化がないということだ。

とはいえ、総選挙前の総選挙のための「超大連立」選挙管理内閣の可能性はなくはない。



衆院解散になるには、麻生総理が解散に打って出るか、内閣不信任を決議するかしかない。それができなければ、ほぼ任期満了までまっとうすることになる。

麻生総理が解散に打って出られる条件が整うことはこの先ほぼまったく考えられない。かといって、自公が圧倒的多数の議席を握っている衆院で内閣不信任が可決される条件もない。

衆院で内閣不信任が可決される条件としては、自民党から大量の造反者が出る以外にない。(公明党が離反しただけでは足りない。)

今後ますます麻生おろしが活発化したとしても、最終的に麻生総裁が辞意を表明しない限りは、麻生政権は継続する。

いずれにせよ、自民党の分裂含みの展開抜きには、「超大連立」選挙管理内閣が現実化する可能性はきわめて薄い。逆に言えば、麻生内閣に批判的な自民党の中堅議員たちが自民党の分裂も辞さない覚悟さえ持てれば可能性が出てくる。とはいえ、現時点での言動から推測する限り、党を割って出る覚悟はまったくないように見える。

ただし、自民党の分裂回避を至上命題にすることで自民党内で麻生おろしが成功すれば、麻生の次の総裁選びと連動して「超大連立」選挙管理内閣が実現する可能性も出てくる。麻生おろしから、次期自民総裁(与謝野?)=小沢を軸とする「超大連立」選挙管理内閣による総選挙実施というシナリオである。

最も早くこれが現実化するとしても、年明け通常国会序盤から1月末にかけてだろうか?

それができなければ、総選挙は早くても「桜の咲く頃」か。

結局、官僚まかせの麻生内閣

麻生内閣になってから、結局なんら政治的リーダーシップは発揮されていない。すべてが官僚まかせで事が進んでいる。

解散もできない、総裁選もできない、完全な手詰まり状況です。

このままだらだらと衆院任期満了(9月)まで続くのだろうか。。。

確かに物理的な政治空白は生まれていないが、政治的リーダーシップがまったく発揮されていないという意味において実質的には完全な政治的空白状態に陥っている。

政権を継続するのであれば麻生首相政権公約をあらためて明確にすべきだろう。

対決路線で「1月解散」再浮上

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111800119
 民主党は、18日午前に予定していた参院外交防衛委員会での新テロ対策特別措置法改正案の採決に応じない方針だ。17日の小沢一郎代表との党首会談で麻生太郎首相が2008年度第二次補正予算案の今国会への提出を確約しなかったため、対決路線に転換した。
 参院では18日、外交防衛委のほか金融機能強化法改正案を審議中の財政金融委員会や総務、厚生労働、経済産業、国土交通の各委員会も審議を予定。しかし、多数を握る民主党の審議拒否で、いずれも質疑や採決の日程は見送られる見通しだ。
(後略)


民主党が対決路線を明確にしたことで、「1月解散」のシナリオが再浮上してきた。

(11/5の日記)「年明け冒頭解散」か? - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/192668/
野党が今後態度を硬化させれば、与党は今国会を「60日みなし否決」規定(憲法59条)による衆院再議決を視野に来年1月上旬までの大幅延長に迫られ、「1月解散」が現実味を帯びることになる。」

野党が主導権を握る参院で審議が滞った場合、11月30日に会期末を迎える今国会の大幅延長を迫られる。参院で審議中の海上自衛隊のインド洋での活動を継続する新テロ対策特措法改正案の参院採決が行われない場合、同法案も合わせて衆院再議決される可能性もある。
 そうなれば野党側が参院で首相の問責決議案を提出する公算が大きい。首相がこの動きを逆手にとって追加経済対策を含む2次補正予算案と来年度予算案を国民に提示し、「速やかな経済対策を行うために国民の信を問いたい」として、再議決直後に衆院を解散する可能性も出てくる。」

局面を変えた党首会談

17日、麻生総理と民主党小沢党首が会談。

これにより、臨時国会を延長せざるを得ない状況が作られた。

http://www.jiji.com/jc/p_archives?id=20081117202606-7456879&rel=j&g=pho

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008111700279
民主党は17日午前、党本部で小沢一郎代表らが出席して幹部会を開き、政府が2008年度第2次補正予算案の今国会提出を明確にしなければ、18日に予定される新テロ対策特別措置法改正案の参院外交防衛委員会での採決を先送りする方針を決めた。麻生太郎首相と小沢氏による党首会談を17日中に開くよう与党に申し入れる。
(後略)

この民主党の方針決定を引き金に、本日(17日)、党首会談が開かれた。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008111700802
民主党は17日、2008年度第2次補正予算案の今国会提出を明確にしなければ、新テロ対策特別措置法改正案の参院採決を先送りするという強硬姿勢に転じた。与党に30日までの会期を延長させ、衆院解散含みの展開に持ち込む狙いがあるとみられる。一方、与党は、民主党の突然の方針転換に反発しているが、会期延長を視野に入れざるを得ない事態に戸惑っている。
(後略)

麻生政権は景気対策を口実に解散しないのであるから、第二次補正が提出されない限り徹底抗戦するという小沢党首のこの対応は正しい。

こうした政治的な対応をできるのが小沢氏以外にいないというのが、日本の政治の貧しさを示している。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008111700533
麻生太郎首相(自民党総裁)は17日夜、首相官邸民主党小沢一郎代表と約30分間、会談した。小沢氏は2008年度第2次補正予算案を今国会に提出するよう要求したが、首相は明言を避けた。この後、自民党大島理森国対委員長民主党山岡賢次国対委員長に電話で、2次補正予算案を来年の次期通常国会に提出するとし、小沢氏の要求を拒否する考えを伝えた。
(後略)

とはいえ、この要求を拒否するのは現実的には難しいだろう。

というのも、民主党が徹底抗戦したばあい、テロ特措法の期限切れ問題が生じるからだ。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008111700893
(前略)
ただ、2次補正を提出せず民主党が徹底抗戦に出た場合の影響は、読み切れていないのが実情だ。同党が新テロ法案の採決に応ぜず、衆院で再可決せざるを得ない状況になれば、今国会を12月下旬まで大幅延長する必要がある。
(後略)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111700930
政府・与党は17日、麻生太郎首相と民主党小沢一郎代表との党首会談が不調に終わったことを踏まえ、今月30日に会期末を迎える今国会の延長の再検討に入った。新テロ対策特別措置法改正案など重要法案の成立を確実にするには、会期延長はやむを得ないとの判断からだ。今後の民主党の対応を見極めながら決定する。
 自民党幹部は17日夜、「こういう状況になったら延長も仕方がない」と強調。政府高官も「新テロ法改正案の成立は国際公約だ。60日ルールを使ってでも衆院で再可決せざるを得ない」と述べた。
 新テロ法案は10月21日に衆院を通過しているため、民主党参院で審議を引き延ばした場合、「60日ルール」で衆院再可決が可能となるのは12月20日となる。同様に、金融機能強化法改正案は来年1月5日にならないと再可決はできない。 
 与党内には「金融法案への民主党の出方が分からない」(自民党国対幹部)として、新テロ法案のため12月下旬まで取りあえず延長し、その後の状況を見て1月上旬まで再延長する2段階論も浮上している。
 今国会の会期をめぐって政府・与党は当初、2008年度第2次補正予算案の提出を視野に延長を検討。その後、同予算案は次期通常国会に提出する方向となり、会期末の30日に国会を閉じる方針を固めていた。(了)
(2008/11/17-23:35)

ということで、こうした民主党の方針決定により、臨時国会の延長が現実のものとなり、年末年始解散の可能性も出てきた。

この政局を制するものが、政策を制することになる。

『格差社会から成熟社会へ』書評2本

昨年出版された共著への書評です。

今さらという感じもしないではないですが、ネット上で見つけたので、記録として引用させていただきます。

格差社会から成熟社会へ

格差社会から成熟社会へ

http://www.4mo4.com/biz/040/index.php?page=13
■2007/11/13, 毎日エコノミスト

格差社会から成熟社会へ
碓井 敏正 (編さん), 大西 広 (編さん)

「資本の蓄積が一定の水準に達し、減価償却分を除いて資本蓄積が不要になりつつある段階を「資本主義後の社会=成熟社会」と位置付け、そのような段階にある日本の政治、経済、福祉、地方自治、労働運動などの課題を探った問題提起書。「市場と自由主義的民主主義を本気で認め……説得力のある改革と運動論」の構築を訴える著者グループの理論的枠組みが、分かりやすく解説されている。」

論文のページ: 新しい社会イメージを提起
■「京都民報」2007年11月4日付(第2308号)

解散できず麻生降ろしへ?

景気対策を口実に解散を先延ばしにしているにもかかわらず、麻生総理は、臨時国会の会期延長もできず、第二次補正予算も提出できずにいる。解散権を握ったままに、である。

政権選択権を行使したいと考えている有権者の側からすれば、しらけていいのかあきれていいのかわからない状況が続いている。

解散を先延ばしにしたまま、「定額給付金」以外の景気対策(?)もない中、なんのために政権を維持し続けようとしているのだろうか。

麻生総理は、もはや解散のタイミングを完全に失ったといってよいように思う。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111500059
【ワシントン14日時事】訪米中の麻生太郎首相は14日昼(日本時間15日未明)、ワシントン市内のホテルで同行記者団に対し、衆院解散の時期について「景気対策を考えたら、予算はきちんと年度内にスタート(成立)させることがすごく大事な要素だ」と述べ、2009年度予算案の年度内成立を優先させ、来春以降に先送りすることが望ましいとの考えを示した。
(後略)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008111500156
【ワシントン14日時事】麻生太郎首相が、衆院解散は2009年度予算成立後の来春以降が望ましいとの考えを示したのは、金融危機が長期化の様相を呈する中で踏み切っても、勝機を見いだすのは難しいとの判断に傾いているためだ。追加経済対策の目玉と位置付けた定額給付金をめぐる調整の迷走も影響しているとみられ、首相にとり解散時期の選択肢は確実に狭まりつつある。
 首相が解散について具体的に触れたのは今回が初めて。これまでは金融危機を受けて「政局よりも政策」と言い続け、あいまいな態度を取ってきた。手の内を明かさぬまま「解散カード」を持つことで、求心力を維持するためだ。
 しかし、経済情勢は一向に上向く気配がない。定額給付金をめぐる議論の混乱が首相の指導力不足を浮き彫りにしたこともあり、与党には「仕切り直し」を求める声が広がっている。首相としては、09年度予算案の年度内成立に最優先で取り組む姿勢を打ち出すことで、解散風をいったん沈静化させ、態勢を立て直す狙いもありそうだ。
 ただ、衆院選を先送りした場合、来年6月か7月に行われる東京都議選とできるだけ離したい公明党から反発が出るのは確実だ。解散権を事実上封じられた状態が続けば、首相の求心力が一段と低下し、「麻生降ろし」の動きが顕在化することも予想される。(了)
(2008/11/15-09:24)


解散の決断ができずにどんどん先延ばしするのは勝手だが、たとえ衆院の任期満了(9月10日)まで待ったとしても、「勝機を見いだすのは難しい」状況に変化が生まれるとは思えない。

ちょうど麻生総裁の誕生日(2008年9月22日)にこんな記事を書いておいた。その後の現実の動きは残念なことに、そのとおりになりつつある。

麻生総理で総選挙が遠のく可能性 - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム
(前略)
自分の政策と実力に自信を持っていればいるほど、総理になってすぐ解散したいとは思わないだろう。実績を上げて、支持率を上げて、それから解散したいと思うのはごく当然の感覚だと思われる。
その際の問題は、本人の意に反して、実績も支持率も上がらない場合に、解散のタイミングを失うということだ。
(後略)

どうひいき目に見ても、この先、麻生内閣の支持率が上がるようには思えない。だとすると、麻生総理は、完全に解散のタイミングを失ったことになる。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111500232
民主党小沢一郎代表は15日、麻生太郎首相が衆院解散より2009年度予算案の年度内成立を優先させる考えを示唆したことについて「景気対策が必要なら、なぜ今国会に(08年度第2次補正予算案を)出さないのか。自分本位、自分勝手な議論をしている。首相の地位を継続させるためなのではないか」と批判した。高知市内で記者団に語った。 
 また、小沢氏は「国民生活は厳しい。国民の声を聴き、支持を得た政権が強力なリーダーシップで思い切った政治をする(必要がある)。(首相は解散を求める)国民の声に抗し切れなくなる時期が来ると思う」と語った。(了)
(2008/11/15-12:50)

だが、果たして麻生氏自らの手で解散に打って出られるのだろうか?

与党内あるいは世論から解散を求められたとしても、このような形でここまで先延ばししてしまったことに加えて、「勝機を見いだすのは難しい」状況にこの先ますます陥っていくのだと前提すれば、もはや麻生氏自らの手で解散に踏み切ることはできないように思われる。

となると、早ければ年末年始にかけて「麻生降ろし」が始まり、通常国会直前か最中に自民総裁選、与謝野総理(?)で選挙管理内閣なんて話になるんだろうか?

中曽根氏などは、勝手なプランを構想中のようである。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111500229
中曽根康弘元首相は15日午前、都内で講演し、衆院解散の時期について「来年9月の任期満了が近づけば政府の力がなくなる。早ければ1月、遅くても4月、5月が、政府が活力を維持しながら断行できるチャンスだ」と述べ、来年1月の通常国会冒頭か来春の解散の可能性を指摘した。
 衆院選後の政局については「自民党が勝つ場合でも野党を30人も引き離すことはない。(与党で)3分の2以上の議席は持てないので、大連立をやらざるを得ない」と強調。(後略) 

だが、果たして大連立の目はあるだろうか。

現時点で、日本のデモクラシーが大連立を支持する状況にあるようには思えない。

しかも、大連立のシナリオはあくまで自民党が相対多数になることを前提としている。

また、活力を維持しながら解散できるタイミングも、すでにとうの昔に過ぎ去っているように思われる。

臨時国会は延長せず?

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111300383
政府・与党は13日、定額給付金など追加経済対策の裏付けとなる2008年度第2次補正予算案の今国会提出を見送る方向で調整に入った。今月30日までの今国会会期は延長しない方針だ。来年の通常国会を例年より早く1月上旬に召集する案も浮上している。麻生太郎首相は経済情勢や野党の対応などを踏まえて、来週中にも最終判断する。

1月解散も遠のいたということか?

「年明け冒頭解散」か?


本日昼過ぎには、オバマ大統領が誕生するとして、日本の国会の解散時期をめぐるクリッピングを二つほど。



http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/192604/
民主党小沢一郎代表は4日の党役員会で、衆院解散・総選挙について「マスコミも麻生太郎首相も先送りをいっているが、私の判断では秋口から年明けの冒頭にある。必ず勝利をする気概をもって頑張ってほしい」と述べ、臨戦態勢を維持するよう指示した。
 小沢氏は、衆院選の時期を近いとみる理由について、「首相は小泉純一郎元首相のような修羅場をくぐり抜けた人ではないので決断が鈍い。(衆院の任期満了の)来年9月までは(政権は)もたず、そう遠くない時期に総選挙を行わざるを得ない。そうでなければ首相が自ら(政権の座から)去っていかなければならないだろう」と語った。
(後略)

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/192668/
政府・与党は4日、金融機関に予備的な公的資金注入を可能にする金融機能強化法改正案を5日の衆院財務金融委員会で採決を強行し、6日に衆院通過させる方針を固めた。麻生太郎首相が15日にワシントンで開かれる金融危機首脳会議に出席するまでに政府・与党の姿勢を明確に示す必要があると判断した。野党が今後態度を硬化させれば、与党は今国会を「60日みなし否決」規定(憲法59条)による衆院再議決を視野に来年1月上旬までの大幅延長に迫られ、「1月解散」が現実味を帯びることになる。(水内茂幸)

(中略)
 与党は野党3党との修正協議を打ち切り、5日の衆院財務金融委員会で締めくくり総括質疑を行った上、委員会採決を行い、6日午後の衆院本会議で採決する方針。委員会採決では、政府原案と、民主党の主張を一部盛り込んだ修正案の2つを採決に諮り、野党側に踏み絵させる案も浮上している。
(中略)

 しかし、野党が主導権を握る参院で審議が滞った場合、11月30日に会期末を迎える今国会の大幅延長を迫られる。金融機能強化法改正案を60日みなし否決規定で衆院再議決が可能となるのは1月5日。参院で審議中の海上自衛隊のインド洋での活動を継続する新テロ対策特措法改正案の参院採決が行われない場合、同法案も合わせて衆院再議決される可能性もある。
 そうなれば野党側が参院で首相の問責決議案を提出する公算が大きい。首相がこの動きを逆手にとって追加経済対策を含む2次補正予算案と来年度予算案を国民に提示し、「速やかな経済対策を行うために国民の信を問いたい」として、再議決直後に衆院を解散する可能性も出てくる。
(後略)

おそらく麻生内閣通常国会まではもたないので、このシナリオは現実的可能性が高いと思われる。

麻生氏としては、民主党をはじめとする野党との対決色を強めて対決点を明確にしつつ、可能な限り攻勢に打って出る形で解散に持ち込みたいところだ。

とはいえ、内閣支持率がさらに下がり続けると(不支持率がこれ以上上がり続けると)、麻生氏自らの手で解散に打って出ることすら出来なくなる可能性も出てくる。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081103-OYT1T00542.htm
読売新聞社が1〜3日に実施した全国世論調査(電話方式)によると、麻生内閣の支持率は40・5%(前月比5・4ポイント減)に低下し、不支持率は41・9%(同3・3ポイント増)に増えた。
 内閣発足から1か月余りで、不支持率が支持率を上回り、逆転した。
(後略)