元政治学者の どこ吹く風

アカデミックな政治学者には語れない日本政治の表と裏を元政治学者が大胆に論じ、将来の日本の政局を予測する。

ところで小沢一郎

自民党総裁選が間近だ。9月20日には新総裁が決まる。大方の予想通り、安倍晋三に落ち着く。
臨時国会の22日召集方針については、現在、民主党社民党などの野党が反対している。野党欠席の中で新首相選出などという異常事態は当然避けたいだろうから、臨時国会は26日以降で落ち着くだろう。ちなみに、公明党大会が30日だが、連立与党でもあり、また新党首も内定しているのでそれ以前の開催を受け入れるだろう。
【結局http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20060907-86663.html】。
いずれにせよ自民党総裁選は安倍晋三で決まり、今月中には安倍政権が誕生する。


安倍政権の発足後、来年7月には参院選がある。さて、対する民主党小沢一郎はどうなのか。
小沢一郎の著書が、9月1日に書店に並んだ。

小沢主義 志を持て、日本人

小沢主義 志を持て、日本人

さっそく買って読んでみた。
自ら「まえがき」でも、「この本には、僕の思想や心情のすべてが詰まっていると言ってもいい」と述べている通り、具体的な政策論はほとんど書いてない。むしろ、小沢氏の政治哲学と政治的信念を一般の読者にもわかりやすくまとめたという印象である。
僕自身が小沢一郎という政治家に注目し始めたのは、1990〜91年の湾岸戦争に際しての小沢一郎(当時・自民党幹事長)の対応以来である。その後、自民党分裂、政治改革、政界再編・・・と、小沢ウォッチングをかれこれ15年以上も続けてきたわけだが、本書には「小沢一郎とは、どういう発想をする人物か」のエッセンスは詰まっている。素直に読んでみて欲しい一冊である。


あと、「夕刊フジ」に掲載中のコラムをまとめた次の本も最近出版されているのであげておく。

剛腕維新

剛腕維新

ここではコラムという小論を通じて、政策が垣間見えるので読んでおくとよいだろう。

今年出た本としては次のものがある。
●2006年6月

90年代の証言 小沢一郎 政権奪取論

90年代の証言 小沢一郎 政権奪取論

月刊『論座』(2005年10月号〜12月号)に掲載されたインタビュー記事の全貌を収録した本。自民党幹事長になる前の米国との交渉、幹事長時代の湾岸戦争田中派に所属してからの派閥内人間関係、政治改革、自民党離党の経緯、細川政権誕生、新進党の結党と解党、自由党旗揚げから時事連立を経て民主党への吸収合併に至るまでの経緯など、その時々における決断や行動が率直に語られている。小沢を知る上での必読書の一つだ。


●2005年3月
小沢一郎の政権奪取戦略

小沢一郎の政権奪取戦略



政策については、本書「まえがき」にあるように、旧著『日本改造計画』に続く『新・改造計画』を執筆中ということなので、その出版を待ちたいと思う。おそらく参院選をターゲットに出版したいところだろう。

日本改造計画

日本改造計画


せっかくなので、小沢一郎関係で手元にあるもので読んでおいたほうがよいと思われる本を参考までにあげておきたい。
●1991年9月出版

小沢一郎探検 (ND Books)

小沢一郎探検 (ND Books)

実を言えば、この本が最初の小沢一郎との出会いだった。ここから僕の小沢ウォッチングは始まった。早い時期の出版にも関わらず、本書は非常にバランスよく書けていたと記憶している。


●1992年5月出版

1990年の海部内閣からの「政治改革」をめぐっての自民党内の激動を描いている。海部内閣における小沢一郎幹事長時代から自民党分裂前夜まで。


●1992年12月出版

あの人―ひとつの小沢一郎論

あの人―ひとつの小沢一郎論

93年の自民党分裂、細川政権誕生前に出た本だが、僕はこの本で、一気に小沢ファンになった。著者は3年半にわたる密着取材を行い、この本を書いたと言う。89年6月に竹下派事務総長に就任、8月には47歳の若さで自民党幹事長になった時からの取材である。小沢一郎の人物像、政治家像を描いた渾身の力作だと思う。いまだにこの本を上回る小沢論は無いんじゃないかと思う。ぜひ読んで欲しい一冊である。


●龍崎孝『小沢一郎の逆襲』サンドケー出版局 (1993年8月)
たぶん絶版だろう。リンクは張れなかった。面白かったという記憶は無いが、毎日新聞元小沢番記者が書いたもの。読みやすくてわかりやすいのであげておく。(たぶん手に入らないと思うが。。。w)
●1993年10月(文庫化96年)

一を以って貫く 人間 小沢一郎 (講談社文庫)

一を以って貫く 人間 小沢一郎 (講談社文庫)


後房雄政権交代のある民主主義−小沢一郎イタリア共産党』窓社 (1994年6月)
これもおそらく絶版だろう。左翼の立場から小沢を評価した本。
●立尾良二『小沢ウォッチング』東京新聞出版局 (1995年3月)
細川政権誕生後、新進党幹事長時代まで続けられた小沢氏の記者会見を様子を報道記者がまとめたもの。これもおそらく絶版だろう。いろんな意味で当時の雰囲気が感じられるので、あげておく。


●1995年12月出版

経世会 死闘の七十日

経世会 死闘の七十日

92年秋の経世会分裂に至る過程までが描かれている。その後、小沢は羽田らとともに自民党を離党して新生党を結成、細川非自民連立内閣の誕生につながっていく。


●1996年4月出版(2006年4月増刷)

語る

語る

最近、増刷された模様。小沢一郎の生い立ち、人生観、歴史観、政治的信条などについて率直に語っている。本書を含めた内容のエッセンスが、新著『小沢主義 志を持て、日本人』に集約されていると言ってよい。

他にもあったように思うが、とりあえず以上。

あと、安倍晋三モノを見つけたので買ってきた。

ドキュメント安倍晋三 隠れた素顔を追う (講談社BIZ)

ドキュメント安倍晋三 隠れた素顔を追う (講談社BIZ)


僕としては、小沢一郎首相を一度は体験してみたいと思うのだが、安倍首相の次に小沢さんにやってもらうというわけにはいかないのだろうか?>主権者の皆様♪