元政治学者の どこ吹く風

アカデミックな政治学者には語れない日本政治の表と裏を元政治学者が大胆に論じ、将来の日本の政局を予測する。

日記はサボってましたが、本はそれなりに読んでました。

夏休み以降、読んだ本のうち気になったものだけ並べておきます。まあ、こんな本も読んでるんだと思って読み流してください。(笑)


カール・ポラニー『大転換』
新しいグローバル化の時代と言われる中で、改めて政治と経済との関係を整理する必要を感じて本書を読んだ。市場経済や市場システムの概念について、今一度、民主政治との関係を含めてきちんと考えたかったというのもある。いままで読んでいなかったのも問題だが、いまの時代に読んでおくべき古典の一つだ。

大転換―市場社会の形成と崩壊

大転換―市場社会の形成と崩壊


ロバート・パットナム『哲学する民主主義』
社会関係資本の概念を用いて、民主政治のパフォーマンスや経済的なパフォーマンスと社会関係資本との相関についてイタリアを題材に実証分析した書。コミュニケーションや信頼といった社会関係資本の蓄積が政治的経済的パフォーマンスやその改善にとってもつ重要性を指摘している。

哲学する民主主義―伝統と改革の市民的構造 (叢書「世界認識の最前線」)

哲学する民主主義―伝統と改革の市民的構造 (叢書「世界認識の最前線」)


あわせて購入したパットナム関連も挙げておく。(まだ読んでない)

孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生

孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生

Bowling Alone: The Collapse and Revival of American Community

Bowling Alone: The Collapse and Revival of American Community

Better Together: Restoring the American Community

Better Together: Restoring the American Community

Democracies in Flux: The Evolution of Social Capital in Contemporary Society

Democracies in Flux: The Evolution of Social Capital in Contemporary Society


これも「社会関係資本」関係。(これは読んだ。)

ソーシャル・キャピタル―現代経済社会のガバナンスの基礎

ソーシャル・キャピタル―現代経済社会のガバナンスの基礎

ソーシャル・ガバナンス 新しい分権・市民社会の構図

ソーシャル・ガバナンス 新しい分権・市民社会の構図


ボウルズ/ギンタス『平等主義の政治経済学』
アメリカラディカル経済学からの市場社会批判。コミュニティ概念を用いて、資産ベースの平等主義的再分配を主張。社会主義崩壊後の改革理念としてラディカルな平等主義を主張。著者らの従来の主張からの帰結がこうなることも、こうした理念に依拠したいこともわからないではないが、果たしてこのプロジェクトが現実的に可能かと言えば疑問。とはいえ、今後の世界においても平等主義の主張が、ポラニーの言う市場経済の拡大と深化に対する社会的防衛や政治的干渉の底流の一つをなすことは間違いないだろう。

平等主義の政治経済学―市場・国家・コミュニティのための新たなルール

平等主義の政治経済学―市場・国家・コミュニティのための新たなルール

  • 作者: サミュエルボールズ,ハーバートギンタス,エリック・オリンライト,Samuel Bowles,Erik Olin Wright,Herbert Gintis,遠山弘徳
  • 出版社/メーカー: 大村書店
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログ (2件) を見る


これに関連して、同書にもコメントを寄せているJ.E.ローマー『これからの社会主義』も読んだので挙げておく。
アナリティカル・マルクス学派の議論として最良の議論のように思えたのだが、どうなのだろうか。実現可能性はさておき、理論としての説得力を感じた。

これからの社会主義―市場社会主義の可能性

これからの社会主義―市場社会主義の可能性

あと、経済学の数式だらけでとうてい僕には読めないローマーの本も買っちゃったのであげておく。
分配的正義の理論―経済学と倫理学の対話

分配的正義の理論―経済学と倫理学の対話


同様に、市民社会概念に依拠した市場経済批判として、マイケル・ウォルツァー『グローバルな市民社会に向かって』も興味深かった。ボウルズ/ギンタスに比べると、ずっと議論が洗練されているように思う。

グローバルな市民社会に向かって

グローバルな市民社会に向かって


関連して、経済学の比較制度分析の議論は非常に勉強になる。制度派経済学には昔から魅力を感じてきたが、比較制度分析にまで高められた経済学は実り多い議論だと思う。青木昌彦氏はすごい。

経済システムの比較制度分析

経済システムの比較制度分析

市場の役割 国家の役割

市場の役割 国家の役割

比較制度分析に向けて 新装版 (叢書≪制度を考える≫)

比較制度分析に向けて 新装版 (叢書≪制度を考える≫)


夏休みはずっとハーシュマンを読んでいた。経済学と政治学の橋渡しの議論として、久しぶりに本を読んでいてわくわくした。ということで、最近はにわかハーシュマン主義者です。(笑)

離脱・発言・忠誠―企業・組織・国家における衰退への反応 (MINERVA人文・社会科学叢書)

離脱・発言・忠誠―企業・組織・国家における衰退への反応 (MINERVA人文・社会科学叢書)

Exit, Voice, and Loyalty: Responses to Decline in Firms, Organizations, and States

Exit, Voice, and Loyalty: Responses to Decline in Firms, Organizations, and States

反動のレトリック―逆転、無益、危険性 (叢書・ウニベルシタス)

反動のレトリック―逆転、無益、危険性 (叢書・ウニベルシタス)

方法としての自己破壊―“現実的可能性”を求めて (叢書・ウニベルシタス)

方法としての自己破壊―“現実的可能性”を求めて (叢書・ウニベルシタス)

情念の政治経済学 (叢書・ウニベルシタス)

情念の政治経済学 (叢書・ウニベルシタス)

可能性の政治経済学―ハーシュマン研究序説

可能性の政治経済学―ハーシュマン研究序説

前から持っていた著書も含めて、この夏休み以降で全部読んでしまいました。
矢野修一氏のハーシュマン研究にも同世代の研究者として刺激されました。(感想:僕も単著まとめないと。。。汗)


それから、民主主義論関係もある程度まとめて読みました。

デモクラシーとは何か

デモクラシーとは何か

デモクラシー (〈一冊でわかる〉シリーズ)

デモクラシー (〈一冊でわかる〉シリーズ)

やっぱり僕はダールよりもクリックのほうに親近感を感じます。
それからムフ女史。久しぶりに読みましたが、ラクラウ氏の熱いヘゲモニー主義論とは温度差のある冷静な思考と論の運び方にはいつも感心させられます。
民主主義の逆説

民主主義の逆説

カール・シュミットの挑戦

カール・シュミットの挑戦

脱構築とプラグマティズム―来たるべき民主主義 (叢書ウニベルシタス)

脱構築とプラグマティズム―来たるべき民主主義 (叢書ウニベルシタス)

ムフとの最初の出会いとなった本も挙げておきます。20年ほど前に英語で夢中で読んだのですが、当時の僕にとってはまさに我が意を得たりの本でした。懐かしい。。(笑)
ポスト・マルクス主義と政治―根源的民主主義のために

ポスト・マルクス主義と政治―根源的民主主義のために

これも昔の本ですが。ついでに。
政治的なるものの再興

政治的なるものの再興


関連して、あまりきちんと読んでない(というか、読み進まないww)のですが、ローティの著作もあげておきます。現代最良のデューイ主義者だと思います。僕にとっては修論以来デューイ批判も一つのテーマですので、当然ローティに対しても批判的な議論を展開することになると思うのですけれど。。。

偶然性・アイロニー・連帯―リベラル・ユートピアの可能性

偶然性・アイロニー・連帯―リベラル・ユートピアの可能性

古いのも含めて挙げておきます。どうしても哲学的レベルから僕にはまったく合わないんです。。。哲学者相手に哲学的批判するつもりはないですが、違いだけはきちんと明確にしたいと思っています。
哲学の脱構築―プラグマティズムの帰結

哲学の脱構築―プラグマティズムの帰結

哲学と自然の鏡

哲学と自然の鏡


ムフもマクファーソンを再評価しているのですが、マクファーソンの民主主義観に学ぶことは今なお多いと思います。とくに市場と民主主義の関係。久しぶりに読み返して改めてそう思いました。とはいえ、時代の制約もあったため、いまひとつ突っ込んで欲しいところに手が届かない感じにもどかしさも感じるのも事実なのですが。。。。

民主主義理論 (1978年)

民主主義理論 (1978年)

所有的個人主義の政治理論 (1980年)

所有的個人主義の政治理論 (1980年)

さすがに絶版か。。C.B.マクファーソンの新書もあげておきます。『自由民主主義は生き残れるか』(岩波新書)『現代世界の民主主義』(岩波新書


民主主義関連の新書。

デモクラシーの論じ方―論争の政治 (ちくま新書)

デモクラシーの論じ方―論争の政治 (ちくま新書)

市民の政治学―討議デモクラシーとは何か (岩波新書)

市民の政治学―討議デモクラシーとは何か (岩波新書)

討議民主主義はわかるんですが。。。いまいち乗り切れない。。もうちょっとスラックなデモクラシーでいいと思う気持ちが僕にはあります。また、論争的概念としての民主主義もわかるのですが、どうしても民主主義に対する過剰期待を感じてしまいます。


あと、いろいろと新書や単行本をかなり読み流したのですが、この辺にしときます。またいずれ。。。。