元政治学者の どこ吹く風

アカデミックな政治学者には語れない日本政治の表と裏を元政治学者が大胆に論じ、将来の日本の政局を予測する。

10/22衆院補選

明日、神奈川16区と大阪9区衆院補選の投開票がある。(ともに自民党議員の死去に伴う補選。)
神奈川16区は伝統的に自民党の地盤が強く、大方の予想通り、今回も民主党候補に勝ち目は無いだろう。したがって民主党としては、参院選や次の衆院選勝利に向けての足がかりを作ることが最大の目標となる。すなわち、注目すべきは票差がどの程度縮まるか(開くか)ということにある。次期衆院選勝利に向けた目安としては、民主党候補は最低でも10万票を超えておきたいところである。(過去の得票データを参照。)


【神奈川16区】(相模原市(第14区に属しない区域),厚木市伊勢原市,愛甲郡,津久井郡
■2005年選挙得票
  1  亀井善之     自由民主党  前      159,268  当選
  2  長田英知     民主党     新      87,991  
  3  檜山千里     日本共産党  新      21,504  

■2003年選挙得票
  1  亀井善之     自由民主党  前      125,067  当選
  2  長田英知     民主党     新      82,967
  3  桧山千里     日本共産党  新      17,877

■2000年選挙得票
  1  亀井善之     自由民主党  前       99,966  当選
  2  山条隆史     民主党     新       53,262  
  3  酒井邦男     日本共産党  新       21,562  
  4  小泉晨一     自由連合    元       16,911  

■1996年選挙得票
  1  亀井善之     自由民主党  前       88325  当選
  2  小泉晨一     自由連合    前       26799  
  3  青井功       日本共産党  新       21264  

※上記データは《http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1251/http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1251/kanagawa.html》から引用


大阪9区は、接戦が予想されている。どちらが勝つにしても僅差になりそうである。前回(2005年総選挙)は、いわゆる郵政解散に伴う自民党圧勝の時だったので、地盤的には双方とも10万票前後で拮抗していると見てよい。
西田猛自民党議員死去に伴う弔い選挙という要素にくわえ、安倍政権に対する評価が問われる選挙結果となるだろう。自民党候補擁立の遅れなどの不利な条件はあるものの、安倍政権一ヶ月の政権運営に対する有権者の評価は、むしろ自民党に好意的な結果を生むのではないか。
他方、民主党としては、小沢代表が主唱する「どぶ板選挙」の結果が問われる選挙である。「どぶ板」活動を通じて、どこまで地盤固めが進んだのか。投票率がそう伸びないことが予想されるだけに、どぶ板によって掘り起こした票が効いてくるだろう。
いずれにせよ10万票前後の僅差の争いになると思われる。
(過去の得票データを参照。)


大阪9区】(池田市茨木市箕面市豊能郡
■2005年選挙得票
  1  西田猛       自由民主党  前     142,243 当選
  2  大谷信盛     民主党     前     111,809  
  3  榎並憲治     日本共産党  新      27,347  

■2003年選挙得票
  1  大谷信盛     民主党     前     97,572  当選
  2  西田猛       自由民主党  元     93,662  比例区当選
  3  藤木邦顕     日本共産党  新     21,491
  4  永田義和     無所属     新     10,678
  5  中北龍太郎    社会民主党  新      9,705

■2000年選挙得票
  1  大谷信盛     民主党     新       82,563  当選
  2  西田猛       保守党     前       65,469  
  3  藤木邦顕     日本共産党  新       38,262  
  4  木本保平     無所属     新       23,071  
  5  松下陽一     無所属     新       8,619  
  6  和田敏       自由連合    新       8,039  

■1996年選挙得票
  1  西田猛       新進党     新       72267  当選
  2  原田憲       自由民主党  前       59817  
  3  小林ひとみ    日本共産党  新       43316  
  4  大谷信盛     民主党     新       34177  

※上記データは《http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1251/http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1251/osaka.html》より引用



いずれにせよ、結果は自民党の2勝か、1勝1敗になる。この補選の結果は、来年の参院選および次の衆院選にどのような影響を与えるだろうか。
自民党2勝の場合には、安倍政権の安定化・長期政権化にはずみがつくだろう。
1勝1敗の場合でも、安倍政権は揺らがないが、どのような票差になるかで今後の政局に微妙な影響が出てくるだろう。ポイントは、神奈川では民主がどこまで迫るか、大阪では民主が勝った場合にどれだけ票差を開けるか、にある。


民主党は、次の衆院選での政権交代を念頭に、知事選などにおいて相乗り路線を転換しつつある。小沢民主党としては、次の総選挙での政権交代を目標にしている以上、今回の補選、今後予定される知事選、来年の参院選において、一歩一歩詰め将棋のように確実に駒を進め自民党を追い込んでいきたいところであろう。だが、そのためには大阪9区で1万票以上の大差で勝つ必要がある。