元政治学者の どこ吹く風

アカデミックな政治学者には語れない日本政治の表と裏を元政治学者が大胆に論じ、将来の日本の政局を予測する。

娘の卒業式

明日は中学校の卒業式だ。娘に普通教育を受けさせる義務から解放される記念すべき日だ。とはいえ、高校で教育を受けさせることも、いまや99%の親にとって間違いなく義務化している。
先日も書いたとおり、娘は高校受験の真っ只中にいる。来週が愛知県の公立高校の入試だ。Aグループから1校(二日間)、Bグループから1校(二日間)だから、合計4日間にわたる試験となる。僕らの時代の高校入試は一日で済んだ場合が多いから、今の子どもたちは大変だ。
おそらくいろんな意味で、プレッシャーやストレスを感じてはいるのだろうが、傍から見ている限りでは、僕らの時代のような必死さと言うか切迫感を感じないのも事実だ。
東大の教育学者の佐藤学氏によれば、高校入試は後発国の(それも特にアジアの)特徴であって、先進国となり高校全入の時代となった現在では、欧米のように基本的に高校入試は全廃すべきだと主張している。いわゆる学区制の高校(コンプリヘンシヴ・スクール)を基本とし、現在の私立高校についてもほとんどを準公立化する一方、裕福な家庭の子弟が通ったりエリート教育を行ったりするプライベートスクール(私立高校)はごく一部でよいとの提言である。
実現可能性はさておき、学区制の高校を基本にすることのメリットはいくつか考えられる。一つには、ちょうど公立中学校のように、多様な生徒に触れる機会を高校内で持つことが出来る。現在の日本を見ている限り、子どもたちの社会性や人間性を養おうと思うならばこちらのほうがずっと良いように思われる。もう一つは、地域と高校および高校生との結びつきが緊密になることが期待できる。地域社会に高校生が日常的に存在することは、高校生にとっても地域にとっても良いことだと思うが、どうだろうか。特に都市部においては、コミュニティの再生を期待できる。
なにも一つの高校に一つの学区を割り当てる必要はない。いくつかの近隣の高校を含む複合的な学区を構想しても良いだろう。
とはいえ、今の高校入試のあり方に余りにも慣れてしまっているので、こうした制度改革にはかなりの抵抗が予想されるのだろうが。。。

教育改革をデザインする (シリーズ教育の挑戦)

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