元政治学者の どこ吹く風

アカデミックな政治学者には語れない日本政治の表と裏を元政治学者が大胆に論じ、将来の日本の政局を予測する。

衆院の解散総選挙

年内の解散総選挙はない。

解散総選挙になるには、内閣不信任が可決されるか、首相の解散権行使しかない。
衆院自民党が圧倒的多数である。自民党が大分裂しない限り内閣不信任はありえない。今度はちゃんと離党覚悟の(さらに大規模な)「加藤-谷垣の乱」でもおこさない限り、安倍内閣不信任はありえないのである。
また、解散権は、自民党が負ける状況になるほど行使されにくくなる。安倍内閣の支持率が下がれば下がるほど、解散は遠のくという逆説が存在する。


かつては、自民党内の派閥力学による総裁の交代という論理も存在した。だが、いまの自民党内には、首相に重大なスキャンダルでもない限り、政権を失う以外には(つまり、衆院総選挙で敗北する以外に)総裁を辞めさせる理屈が存在しないのである。

要するに、解散抜き不信任抜きでの首相交代はありえない。これは、本来の民主主義的原則に則った状況である。

いまの安倍内閣は、総選挙での議席配分をベースとした内閣として構成されているという点で、日本国憲法に定められた議院内閣制(および衆議院の優越)の原則に完全に則っている。立憲的にも民主的にも完全に正統な内閣である。

これは、かつての自民党単独長期政権時代における、民主主義的正統性なき(擬似)政権交代に比べて、明らかに日本国憲法に則った議院内閣制が成熟しているということであり、民主主義が深化しているということである。

総選挙に至るためには、自民党による野党の取り込みがうまく行かない場合、公明党の連立離脱もしくは自民党の分裂含みの展開もしくは民主党の分裂含みの展開を必要とする。

衆院解散総選挙は、早くて2008年10月頃か、2009年6月頃になると思われる。

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