元政治学者の どこ吹く風

アカデミックな政治学者には語れない日本政治の表と裏を元政治学者が大胆に論じ、将来の日本の政局を予測する。

安倍晋三と福田康夫

人気blogランキングへ

年齢の違いを除けば、この二人には共通点が多い。


福田康夫は1936年7月16日に生まれた。父は、福田赳夫元首相であり、康夫は2世議員である。早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業した後、民間企業(丸善石油)に勤めた。
安倍晋三は1954年9月21日に生まれた。母方の祖父は岸信介元首相であり、父方の祖父は安倍寛衆院議員である。父は安倍晋太郎元外相であり、晋三は3世議員である。成蹊大学法学部政治学科を卒業した後、民間企業(神戸製鋼所)に勤めた。

康夫は、1976年-1978年 父親の首相就任に伴って議員秘書、首相秘書官に就任した。
晋三も、1982年 父親の外務大臣就任に伴って外相秘書官に就任した。

父の後継者として、康夫は衆議院議員に初当選(1990年)、晋三も衆議院議員に初当選(1993年)する。

それから10年足らず、いずれも短期間で党の要職への階段を昇っていった。

福田康夫は、2000年10月に内閣官房長官に就任(第2次森内閣途中入閣)。その後、2001年4月からは引き続き小泉内閣官房長官に就任。2004年5月に官房長官を辞任した。(在任日数1289日は歴代最長)

安倍晋三は、2000年7月に第2次森改造内閣官房副長官に就任。その後、2001年4月からは引き続き小泉内閣官房副長官に就任。2003年9月、自由民主党幹事長に就任。2004年9月、自由民主党幹事長代理(党改革推進本部長)に就任。2005年10月、第3次小泉改造内閣官房長官に就任した。

ポスト小泉をめぐって両者は争う形になった。が、国民的支持の高さを背景にして、町村派における候補者一本化のプロセスの中で、福田が総裁選出馬を見送る形で、安倍政権が誕生することになったのが、今からちょうど一年前であった。

2006年9月、安倍晋三自由民主党総裁に選出、第90代内閣総理大臣に就任。

2007年9月、福田康夫自由民主党総裁に選出、第91代内閣総理大臣に就任。



もちろん政治状況の違いもあるが、今後の政権のゆくえを占うにあたっては、制度的要因が副次的なものにとどまり、人の要因が多くを左右するのだとすれば、二人の性格タイプを含めて、さらには首相秘書官の性格タイプなどをも含めて、制度的な条件依存性を考慮に入れつつも、状況性と人の要因を分析するためのツールを開発していく必要がある。

性格タイプの違い。生育環境の影響。官僚経験の有無や民間企業経験の有無。政治家としてのキャリアと資質をどう計量化するか。政局力と政策力。調整役と牽引役。人気と不人気の構造。などなど。
政治学は現実の政治を説明する語彙をもっと増やさなくてはならない。臨床的な知としての政治学を構想するのであれば、の話だが。

たとえば、なぜ額賀氏は本人の能力や意図とはまったく無関係に誰も首相にしようと思わないのか。あるいは、塩崎氏についても本人の能力や思い込みとは無関係にイケメンなのになぜ人気が出ないのか。安倍晋三氏についても、あれほど圧倒的な人気がなぜここまで(特に女性に)毛嫌いされるようになってしまったのか。これらを説明する語彙をどうにかして増やさねばなるまい。

人気blogランキングへ<<<この記事が良いと思ったらクリックしてください。