元政治学者の どこ吹く風

アカデミックな政治学者には語れない日本政治の表と裏を元政治学者が大胆に論じ、将来の日本の政局を予測する。

局面を変えた党首会談

17日、麻生総理と民主党小沢党首が会談。

これにより、臨時国会を延長せざるを得ない状況が作られた。

http://www.jiji.com/jc/p_archives?id=20081117202606-7456879&rel=j&g=pho

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008111700279
民主党は17日午前、党本部で小沢一郎代表らが出席して幹部会を開き、政府が2008年度第2次補正予算案の今国会提出を明確にしなければ、18日に予定される新テロ対策特別措置法改正案の参院外交防衛委員会での採決を先送りする方針を決めた。麻生太郎首相と小沢氏による党首会談を17日中に開くよう与党に申し入れる。
(後略)

この民主党の方針決定を引き金に、本日(17日)、党首会談が開かれた。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008111700802
民主党は17日、2008年度第2次補正予算案の今国会提出を明確にしなければ、新テロ対策特別措置法改正案の参院採決を先送りするという強硬姿勢に転じた。与党に30日までの会期を延長させ、衆院解散含みの展開に持ち込む狙いがあるとみられる。一方、与党は、民主党の突然の方針転換に反発しているが、会期延長を視野に入れざるを得ない事態に戸惑っている。
(後略)

麻生政権は景気対策を口実に解散しないのであるから、第二次補正が提出されない限り徹底抗戦するという小沢党首のこの対応は正しい。

こうした政治的な対応をできるのが小沢氏以外にいないというのが、日本の政治の貧しさを示している。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008111700533
麻生太郎首相(自民党総裁)は17日夜、首相官邸民主党小沢一郎代表と約30分間、会談した。小沢氏は2008年度第2次補正予算案を今国会に提出するよう要求したが、首相は明言を避けた。この後、自民党大島理森国対委員長民主党山岡賢次国対委員長に電話で、2次補正予算案を来年の次期通常国会に提出するとし、小沢氏の要求を拒否する考えを伝えた。
(後略)

とはいえ、この要求を拒否するのは現実的には難しいだろう。

というのも、民主党が徹底抗戦したばあい、テロ特措法の期限切れ問題が生じるからだ。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008111700893
(前略)
ただ、2次補正を提出せず民主党が徹底抗戦に出た場合の影響は、読み切れていないのが実情だ。同党が新テロ法案の採決に応ぜず、衆院で再可決せざるを得ない状況になれば、今国会を12月下旬まで大幅延長する必要がある。
(後略)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111700930
政府・与党は17日、麻生太郎首相と民主党小沢一郎代表との党首会談が不調に終わったことを踏まえ、今月30日に会期末を迎える今国会の延長の再検討に入った。新テロ対策特別措置法改正案など重要法案の成立を確実にするには、会期延長はやむを得ないとの判断からだ。今後の民主党の対応を見極めながら決定する。
 自民党幹部は17日夜、「こういう状況になったら延長も仕方がない」と強調。政府高官も「新テロ法改正案の成立は国際公約だ。60日ルールを使ってでも衆院で再可決せざるを得ない」と述べた。
 新テロ法案は10月21日に衆院を通過しているため、民主党参院で審議を引き延ばした場合、「60日ルール」で衆院再可決が可能となるのは12月20日となる。同様に、金融機能強化法改正案は来年1月5日にならないと再可決はできない。 
 与党内には「金融法案への民主党の出方が分からない」(自民党国対幹部)として、新テロ法案のため12月下旬まで取りあえず延長し、その後の状況を見て1月上旬まで再延長する2段階論も浮上している。
 今国会の会期をめぐって政府・与党は当初、2008年度第2次補正予算案の提出を視野に延長を検討。その後、同予算案は次期通常国会に提出する方向となり、会期末の30日に国会を閉じる方針を固めていた。(了)
(2008/11/17-23:35)

ということで、こうした民主党の方針決定により、臨時国会の延長が現実のものとなり、年末年始解散の可能性も出てきた。

この政局を制するものが、政策を制することになる。

『格差社会から成熟社会へ』書評2本

昨年出版された共著への書評です。

今さらという感じもしないではないですが、ネット上で見つけたので、記録として引用させていただきます。

格差社会から成熟社会へ

格差社会から成熟社会へ

http://www.4mo4.com/biz/040/index.php?page=13
■2007/11/13, 毎日エコノミスト

格差社会から成熟社会へ
碓井 敏正 (編さん), 大西 広 (編さん)

「資本の蓄積が一定の水準に達し、減価償却分を除いて資本蓄積が不要になりつつある段階を「資本主義後の社会=成熟社会」と位置付け、そのような段階にある日本の政治、経済、福祉、地方自治、労働運動などの課題を探った問題提起書。「市場と自由主義的民主主義を本気で認め……説得力のある改革と運動論」の構築を訴える著者グループの理論的枠組みが、分かりやすく解説されている。」

論文のページ: 新しい社会イメージを提起
■「京都民報」2007年11月4日付(第2308号)

解散できず麻生降ろしへ?

景気対策を口実に解散を先延ばしにしているにもかかわらず、麻生総理は、臨時国会の会期延長もできず、第二次補正予算も提出できずにいる。解散権を握ったままに、である。

政権選択権を行使したいと考えている有権者の側からすれば、しらけていいのかあきれていいのかわからない状況が続いている。

解散を先延ばしにしたまま、「定額給付金」以外の景気対策(?)もない中、なんのために政権を維持し続けようとしているのだろうか。

麻生総理は、もはや解散のタイミングを完全に失ったといってよいように思う。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111500059
【ワシントン14日時事】訪米中の麻生太郎首相は14日昼(日本時間15日未明)、ワシントン市内のホテルで同行記者団に対し、衆院解散の時期について「景気対策を考えたら、予算はきちんと年度内にスタート(成立)させることがすごく大事な要素だ」と述べ、2009年度予算案の年度内成立を優先させ、来春以降に先送りすることが望ましいとの考えを示した。
(後略)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008111500156
【ワシントン14日時事】麻生太郎首相が、衆院解散は2009年度予算成立後の来春以降が望ましいとの考えを示したのは、金融危機が長期化の様相を呈する中で踏み切っても、勝機を見いだすのは難しいとの判断に傾いているためだ。追加経済対策の目玉と位置付けた定額給付金をめぐる調整の迷走も影響しているとみられ、首相にとり解散時期の選択肢は確実に狭まりつつある。
 首相が解散について具体的に触れたのは今回が初めて。これまでは金融危機を受けて「政局よりも政策」と言い続け、あいまいな態度を取ってきた。手の内を明かさぬまま「解散カード」を持つことで、求心力を維持するためだ。
 しかし、経済情勢は一向に上向く気配がない。定額給付金をめぐる議論の混乱が首相の指導力不足を浮き彫りにしたこともあり、与党には「仕切り直し」を求める声が広がっている。首相としては、09年度予算案の年度内成立に最優先で取り組む姿勢を打ち出すことで、解散風をいったん沈静化させ、態勢を立て直す狙いもありそうだ。
 ただ、衆院選を先送りした場合、来年6月か7月に行われる東京都議選とできるだけ離したい公明党から反発が出るのは確実だ。解散権を事実上封じられた状態が続けば、首相の求心力が一段と低下し、「麻生降ろし」の動きが顕在化することも予想される。(了)
(2008/11/15-09:24)


解散の決断ができずにどんどん先延ばしするのは勝手だが、たとえ衆院の任期満了(9月10日)まで待ったとしても、「勝機を見いだすのは難しい」状況に変化が生まれるとは思えない。

ちょうど麻生総裁の誕生日(2008年9月22日)にこんな記事を書いておいた。その後の現実の動きは残念なことに、そのとおりになりつつある。

麻生総理で総選挙が遠のく可能性 - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム
(前略)
自分の政策と実力に自信を持っていればいるほど、総理になってすぐ解散したいとは思わないだろう。実績を上げて、支持率を上げて、それから解散したいと思うのはごく当然の感覚だと思われる。
その際の問題は、本人の意に反して、実績も支持率も上がらない場合に、解散のタイミングを失うということだ。
(後略)

どうひいき目に見ても、この先、麻生内閣の支持率が上がるようには思えない。だとすると、麻生総理は、完全に解散のタイミングを失ったことになる。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111500232
民主党小沢一郎代表は15日、麻生太郎首相が衆院解散より2009年度予算案の年度内成立を優先させる考えを示唆したことについて「景気対策が必要なら、なぜ今国会に(08年度第2次補正予算案を)出さないのか。自分本位、自分勝手な議論をしている。首相の地位を継続させるためなのではないか」と批判した。高知市内で記者団に語った。 
 また、小沢氏は「国民生活は厳しい。国民の声を聴き、支持を得た政権が強力なリーダーシップで思い切った政治をする(必要がある)。(首相は解散を求める)国民の声に抗し切れなくなる時期が来ると思う」と語った。(了)
(2008/11/15-12:50)

だが、果たして麻生氏自らの手で解散に打って出られるのだろうか?

与党内あるいは世論から解散を求められたとしても、このような形でここまで先延ばししてしまったことに加えて、「勝機を見いだすのは難しい」状況にこの先ますます陥っていくのだと前提すれば、もはや麻生氏自らの手で解散に踏み切ることはできないように思われる。

となると、早ければ年末年始にかけて「麻生降ろし」が始まり、通常国会直前か最中に自民総裁選、与謝野総理(?)で選挙管理内閣なんて話になるんだろうか?

中曽根氏などは、勝手なプランを構想中のようである。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111500229
中曽根康弘元首相は15日午前、都内で講演し、衆院解散の時期について「来年9月の任期満了が近づけば政府の力がなくなる。早ければ1月、遅くても4月、5月が、政府が活力を維持しながら断行できるチャンスだ」と述べ、来年1月の通常国会冒頭か来春の解散の可能性を指摘した。
 衆院選後の政局については「自民党が勝つ場合でも野党を30人も引き離すことはない。(与党で)3分の2以上の議席は持てないので、大連立をやらざるを得ない」と強調。(後略) 

だが、果たして大連立の目はあるだろうか。

現時点で、日本のデモクラシーが大連立を支持する状況にあるようには思えない。

しかも、大連立のシナリオはあくまで自民党が相対多数になることを前提としている。

また、活力を維持しながら解散できるタイミングも、すでにとうの昔に過ぎ去っているように思われる。

臨時国会は延長せず?

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008111300383
政府・与党は13日、定額給付金など追加経済対策の裏付けとなる2008年度第2次補正予算案の今国会提出を見送る方向で調整に入った。今月30日までの今国会会期は延長しない方針だ。来年の通常国会を例年より早く1月上旬に召集する案も浮上している。麻生太郎首相は経済情勢や野党の対応などを踏まえて、来週中にも最終判断する。

1月解散も遠のいたということか?

「年明け冒頭解散」か?


本日昼過ぎには、オバマ大統領が誕生するとして、日本の国会の解散時期をめぐるクリッピングを二つほど。



http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/192604/
民主党小沢一郎代表は4日の党役員会で、衆院解散・総選挙について「マスコミも麻生太郎首相も先送りをいっているが、私の判断では秋口から年明けの冒頭にある。必ず勝利をする気概をもって頑張ってほしい」と述べ、臨戦態勢を維持するよう指示した。
 小沢氏は、衆院選の時期を近いとみる理由について、「首相は小泉純一郎元首相のような修羅場をくぐり抜けた人ではないので決断が鈍い。(衆院の任期満了の)来年9月までは(政権は)もたず、そう遠くない時期に総選挙を行わざるを得ない。そうでなければ首相が自ら(政権の座から)去っていかなければならないだろう」と語った。
(後略)

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/192668/
政府・与党は4日、金融機関に予備的な公的資金注入を可能にする金融機能強化法改正案を5日の衆院財務金融委員会で採決を強行し、6日に衆院通過させる方針を固めた。麻生太郎首相が15日にワシントンで開かれる金融危機首脳会議に出席するまでに政府・与党の姿勢を明確に示す必要があると判断した。野党が今後態度を硬化させれば、与党は今国会を「60日みなし否決」規定(憲法59条)による衆院再議決を視野に来年1月上旬までの大幅延長に迫られ、「1月解散」が現実味を帯びることになる。(水内茂幸)

(中略)
 与党は野党3党との修正協議を打ち切り、5日の衆院財務金融委員会で締めくくり総括質疑を行った上、委員会採決を行い、6日午後の衆院本会議で採決する方針。委員会採決では、政府原案と、民主党の主張を一部盛り込んだ修正案の2つを採決に諮り、野党側に踏み絵させる案も浮上している。
(中略)

 しかし、野党が主導権を握る参院で審議が滞った場合、11月30日に会期末を迎える今国会の大幅延長を迫られる。金融機能強化法改正案を60日みなし否決規定で衆院再議決が可能となるのは1月5日。参院で審議中の海上自衛隊のインド洋での活動を継続する新テロ対策特措法改正案の参院採決が行われない場合、同法案も合わせて衆院再議決される可能性もある。
 そうなれば野党側が参院で首相の問責決議案を提出する公算が大きい。首相がこの動きを逆手にとって追加経済対策を含む2次補正予算案と来年度予算案を国民に提示し、「速やかな経済対策を行うために国民の信を問いたい」として、再議決直後に衆院を解散する可能性も出てくる。
(後略)

おそらく麻生内閣通常国会まではもたないので、このシナリオは現実的可能性が高いと思われる。

麻生氏としては、民主党をはじめとする野党との対決色を強めて対決点を明確にしつつ、可能な限り攻勢に打って出る形で解散に持ち込みたいところだ。

とはいえ、内閣支持率がさらに下がり続けると(不支持率がこれ以上上がり続けると)、麻生氏自らの手で解散に打って出ることすら出来なくなる可能性も出てくる。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081103-OYT1T00542.htm
読売新聞社が1〜3日に実施した全国世論調査(電話方式)によると、麻生内閣の支持率は40・5%(前月比5・4ポイント減)に低下し、不支持率は41・9%(同3・3ポイント増)に増えた。
 内閣発足から1か月余りで、不支持率が支持率を上回り、逆転した。
(後略)

総選挙日程

今後の総選挙日程に関して、毎日新聞の記事が良くまとめてあるので、クリップしておきます。

次期衆院選はいつなのか−−。麻生太郎首相が30日、年内衆院選の見送りを事実上認めたことで、選挙時期は(1)年明けの1月(2)09年度予算成立後(3)来年9月の衆院議員の任期満了まで追い込まれた来秋−−の3パターンに絞られる。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081031mog00m010017000c.html?inb=yt

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081031mog00m010018000c.html

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081031mog00m010019000c.html

解散先延ばし確定

解散先延ばし関連のニュースをいくつかピックアップしておく。

麻生総裁の下での総選挙という当初のシナリオ自体が消えてなくならないことを祈りたい。

時事通信から。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date4&k=2008102900437
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date4&k=2008102900473
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2008102900873
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2008103001105
(前略)
【消費税】財政の中期プログラムを年内に取りまとめる。年末に税制全般について、抜本改革の全体像を提示する。大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で3年後に消費税引き上げをお願いしたい。わたしの目指す日本は中福祉中負担だ。多くの借金を子どもたちに残していくことはやめなければならない。そのためには増税は避けて通れない。
 【衆院解散】解散の時期は、しかるべき時期にわたし自身が判断する。(国民の審判を仰いでいない麻生政権の正統性をどう考えるかに)ここは大統領制ではなく、議院内閣制だ。正統性には全く問題がない。世の中において、政局より政策、何より景気対策という世論の声が圧倒的に高い。少なくとも今の段階において、(第2次)補正予算案が通るか通らないか、国会の対応を見た上で、解散の時期はそれに関連してくる。政策を実現して、国民の生活不安に応える必要が優先順位からいうと一番だ。
(後略)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2008103001149
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2008103001169
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2008103000923
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2008103001196
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2008103100005

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/190893/
 麻生太郎首相が、かねて念頭に置いていた「11月18日公示、30日投開票」の次期衆院選を先送りし、金融危機への対応や経済対策を優先させる意向を固め自民党幹部に伝えていたことが28日、分かった。複数の与党幹部が明らかにした。ただ、民主党は国会審議を通じて早期解散に追い込む構えを見せており、首相は年内解散のタイムリミットとなる11月7日前後に最終決断を迫られそうだ。
(後略)

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/191381/
麻生太郎首相は30日午後の記者会見で、追加経済対策の財源について、「赤字国債は出さない」と述べた。その上で、「大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で、3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と、消費税率引き上げを明言した。
(後略)

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/191522/

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/191807/
(前略)
 実はこの直前まで麻生は11月18日公示、11月30日投開票で衆院選に踏み切る考えを固めていた。自民党が9月下旬に行った世論調査は自民、公明両党を合わせてかろうじて過半数だったが、選挙戦を通じて挽回(ばんかい)できると踏んだのだ。

 10月9日に麻生からこの構想を聞いた菅は「いま解散すれば大敗しかねない」と必死に止めたが、麻生は聞く耳を持たず、翌10日夜には都内のホテルで自民党幹事長の細田博之と密会し、選挙準備を指示した。

 翌週にはこのうわさが漏れ伝わり、自民党は選挙モード一色となった。「このまま10月下旬に突入すればもう流れは止まらない」。そう考えた菅は16日を最後の説得のチャンスと踏んだのだ。

 16日を過ぎると麻生は次第に慎重姿勢に転じていく。この裏で株価が連日下落を続けたことも菅ら慎重派の後押しになった。

 10月28日、ついに日経平均株価は昭和57年以来26年ぶりに7000円を割り込んだ。これを知った菅はこうつぶやいた。

 「もし『10・26総選挙』になっていたら自民党は壊滅していたかもな…」

 麻生にとって解散先送りは苦渋の決断だったが、今後の与野党攻防を考えると「イバラの道」を選んだともいえる。
(後略)


僕としては、エリーティスト麻生の消費税上げの決断は実は大いに評価したいところなのだが、日本の有権者のデモクラシー圧力はその決断に対してマイナスの評価を与える傾向のほうが強いと思う。

解散の先延ばしもさることながら、抜本的税制改革の先延ばしも問題だ。

「解散権は俺にある?」ならば「政権選択権は誰にある?」

麻生太郎氏本人が言ったかどうかは知らないが、こんな報道があった。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/183765/
麻生首相は2日午前、参院での代表質問で、経済対策を盛り込んだ2008年度補正予算案に引き続き、消費者庁設置法案や新テロ対策特別措置法の延長法案の成立に強い意欲を示した。次期衆院選については「解散という政局より、景気対策など政策の実現を優先させたい」と明言、「11月2日投開票」の方向だった衆院選日程を先送りする可能性を示唆した。
 質問に立った民主党輿石東参院議員会長が、速やかな衆院解散を要請したのに答えた。
 また、1日には共産党を除く与野党国対委員長会談が開かれ、与党側が、衆参各2日の審議で補正予算案の採決に応じる代わりに速やかに解散し11月9日に衆院選を行うとの野党提案を拒否。民主党山岡賢次国対委員長は「提案はご破算だ。徹底的に審議しよう」と通告した。麻生首相の決意と、野党の徹底抗戦が確定的となったことで、与党内では「11月2日投開票」の方向だった衆院選日程の先送りが濃厚との見方がいよいよ強まった。

麻生氏が、解散総選挙を可能な限り先延ばしにしたいという強い意欲を持っていることは、以前の日記でも早くから(麻生氏が総裁になる前から)指摘してきた。

過去の記事(解散関連〜主なもの)
(9月8日の記事)衆院解散。麻生総裁なら、来年にずれ込む???w - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム
(9月22日の記事)麻生総理で総選挙が遠のく可能性 - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム
(9月24日の記事)臨時国会召集で気になる民主党の対応 - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム

9月22日の麻生総裁誕生直前には、次のように書いておいた。

麻生総理で総選挙が遠のく可能性 - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム(9月22日の記事)より引用
 「解散よりも緊急経済対策が急務」「冒頭解散とか、早期解散とか、そんなことはありえません。緊急経済対策を仕上げてから、考える。当たり前でしょう」という麻生氏の発言は、リーマン破綻などの影響の中、説得力を増す可能性が高く、早期解散のシナリオは覆される可能性が高くなってきている。
 そもそも麻生氏自身は、早期解散よりも実績をあげてから解散したいと思っていたと思われる。ある意味そう思うのは当然であって、自分の政策と実力に自信を持っていればいるほど、総理になってすぐ解散したいとは思わないだろう。実績を上げて、支持率を上げて、それから解散したいと思うのはごく当然の感覚だと思われる。
 その際の問題は、本人の意に反して、実績も支持率も上がらない場合に、解散のタイミングを失うということだ。
 もちろん、実績と支持率が上がれば言うことはないし、麻生政権がそうならないとは言えない。野党の対応も鍵を握っている。野党が対応を誤れば、麻生政権の支持率は上昇する可能性がある。
 先日の日記にも書いたが、「自民党にとって最善の解散、総選挙の時期は、臨時国会冒頭である。」
 この考えは、いまのところ変わっていない。ただし、野党が麻生政権を追い込み支持率を低下させるという条件付きである。
(中略)
 民主党は、下手な話し合いや妥協に応ずることなく、政権交代抜きに一切の問題は解決しないとのこれまでの姿勢を堅持すべきである。すなわち、補正予算審議前の早期解散総選挙を要求すべきである。

事ここに至り、ようやくマスコミも、解散総選挙の先延ばしを現実のものとして伝え始めている。

そこで、やはり気になるのが野党の対応だ。

臨時国会召集で気になる民主党の対応 - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム(9月24日の記事)
 僕の判断では、麻生氏は、補正予算の審議をせずに衆院解散に打って出るつもりなどこれっぽちもない。むしろ、補正予算の成立に強い意欲をもち、かつ、あくまで状況次第であるが、うまく乗り切れるのであれば、そのまま解散せずにあわよくば来年度予算成立まで政権運営を続けたいと思っているのではないか。
 なぜ、民主党補正予算の審議をせずに麻生総理が解散に打って出ると思い込んでいるのか?(中略)
 民主党が「早期の採決に協力する」ことは、むしろ総選挙の先延ばしに協力することにならないのだろうか?(中略)
 麻生総理も自民党執行部も早期解散は考えていない。(中略)
 解散総選挙は、来年度予算成立後、すなわち来年4月以降の解散でかまわないとの認識だ。
 だが、普通に考えれば、当然の認識だ。
 この認識に対抗するのは、与野党議員と国民からの早期の解散総選挙を求める圧力しかない。
 再度改めて確認しておきたい。
 第一に、解散権は麻生総理の側にある。
 第二に、総選挙を行えば自民党は大幅に議席を減らす。
 したがって、麻生政権は可能な限り総選挙を先延ばしにしようと試みるはずである。
 国民も野党も、このことを前提に行動しなければならない。

仮にいま、解散権が麻生太郎にあるとして、政権選択権はいったい誰にあるのか?


郵政選挙以来、国民は政権選択権を保障されていない。

3年前のいわゆる「郵政選挙」は、郵政民営化政権公約に掲げた小泉路線への支持であった。

小泉退陣以降、国民は政権選択の機会を与えられていない。政権公約(政府のとるべき基本的な政策路線)を選択する機会が与えられていないということだ。


小泉路線からの政策転換が明白である以上、一刻も早く、麻生氏は解散権を行使し、総選挙を行い、政権と政権公約を国民に選択させるべきだろう。



「解散権は俺にある」のだと首相が開き直るのであれば、「政権選択権は国民にある」と国民は開き直るべきだろう。

明らかな政策転換をしているにもかかわらず、総選挙の洗礼を受けていない首相が、状況を口実に、解散権を独り占めすることで、国民の政権選択権を奪っている。



P.S.アメリカでは、大統領選挙も下院議員選挙も日程どおりに行われようとしている。政局で選挙日程が左右されるというこの国の状況は果たして「いかがなものか」と思ったりもしています。

P.P.S.この記事を書き終わったところでこんなニュースが。。。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/184758/
 麻生太郎首相が同日の予算委で解散より景気対策重視の構えを重ねて示したのに対して、民主党は同日の幹部会で、平成20年度補正予算案への賛否を小沢一郎代表に一任した。同党は解散先送りの口実を首相に与えることを警戒し、補正予算案の早期採決を容認する姿勢に傾いている。しかし、解散するかどうかは首相の腹一つ。民主党の思惑通りに進むのか。

 「選挙管理内閣である麻生内閣を早期解散に導く戦略をいろいろ議論した。中身を申し上げるわけにはいかない」

 民主党鳩山由紀夫幹事長は6日夜、党本部で開かれた小沢氏らとの幹部会後、記者団にこう語った。

「いろいろ議論した」「中身」をぜひとも知りたいところだ。。。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/184758/
 鳩山氏は6日、千葉県成田市で街頭演説し「(補正予算案を)採決したら、すぐ解散して信を問うのが憲政のあるべき姿だ」と補正予算成立直後の解散を要求。幹部会後には記者団に「(民主党が予算委で)引き延ばし戦術みたいなことをやれば、相手(政府・与党)が解散をやれないとの判断に傾きつつあるので、そこに入り込むだけだ」と述べ、採決引き延ばしが解散先送りの口実に使われかねないとの警戒感を示した。
 ただ、民主党が採決で柔軟姿勢をとっても早期解散となる保証はない。民主党執行部の一人は6日夜、「いろいろやっても必ず解散に追い込める話はそんなにないんだ」とこぼした。

「いろいろやっても必ず解散に追い込める話はそんなにないんだ」。。。これが本音でしょうね。。。きっと。。
「憲政のあるべき姿」。。。(*'へ'*) ンー

総選挙の顔ぶれと雲行き

http://mainichi.jp/select/seiji/etc/20080926/?inb=yt
総選挙の顔ぶれ(毎日jp)

解散総選挙 「年明け」の予想も!:|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース
 定まらぬ解散総選挙の時期について、「年明けまで延期」という観測が流れている。米国発の金融危機がまだまだ予断を許さぬ状況であるうえ、景気対策を重視する麻生太郎首相は、報道が先行する形の11月2日あるいは9日とされる投・開票日に不快感を持っているとされる。
 補正予算成立はもちろん、新テロ対策特別措置法(給油法案)など、その他の懸案まで一気に片付け、実績を示したうえで解散総選挙、との戦略を描いているともされるが、実際には選挙情勢調査による「自・公合わせても過半数届かず」の数字こそが先送りの理由だという。

揺れる早期解散シナリオ 自民、先送り論強く
 現状では公明党を合わせた与党の議席数は約100議席減の230議席台に落ち込み、衆院過半数(241)に達しない――。自民党が先週、実施した次期衆院選の情勢調査が厳しい結果だったことが明らかになった。
 強まる衆院解散先送り論は世界的な金融不安がきっかけとされる。だが真の理由は調査が示す「惨敗予想」への不安との見方が党内では根強い。
 調査は9月22―27日に実施。衆院300小選挙区について一選挙区で約1000人から次期衆院選の投票行動を聞き取った。全選挙区の状況は首相と細田博之幹事長、古賀誠選挙対策委員長ら、ごくわずかの幹部だけに今週初めに伝えられた。(10:06)

自民・調査結果と選挙の行方:|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース
 自民党の選挙区情勢調査の結果(一部既報)に波紋が広がっている。自・公合わせて230〜240議席との情報に様々な思惑が交錯する。
 比例区については、強く民主有利という傾向が出ているものの、多くの小選挙区は競り合いの中での民主有利という状況だという。自民が100議席、公明が3〜4議席ほど減らす可能性があるとされる。

自・公230以下か? 自民調査結果への疑問:|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース

 自民党の選挙区情勢調査の結果(一部既報)に波紋が広がっている。自・公合わせて230〜240議席との情報に様々な思惑が交錯する。
 比例区については、強く民主有利という傾向が出ているものの、多くの小選挙区は競り合いの中での民主有利という状況だという。自民が100議席、公明が3〜4議席ほど減らす可能性があるとされる。自民党議員にとっては「こんな状態で解散して勝てるのか」と、足がすくむような結果だが、対峙する民主党側にも与える衝撃は小さくない。

麻生内閣と衆院選

内閣支持率(各種世論調査

共同通信
http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008092501000745.html
麻生内閣発足を受け、共同通信社が24日夜から25日にかけ実施した全国緊急電話世論調査で、内閣支持率は48・6%となった。不支持率は32・9%だった。支持率は昨年9月の福田前内閣発足直後の57・8%を下回った。
 次期衆院選比例代表の投票先は、自民党34・9%、民主党34・8%と拮抗した。このほか公明党5・7%、共産党2・7%、社民党1・2%、国民新党0・4%、新党日本0・2%。

http://www.jiji.com/jc/zc?key=%bb%d9%bb%fd%ce%a8&k=200809/2008092601014
麻生内閣の発足を受けて主要新聞社が実施した世論調査によると、内閣支持率は昨年9月の福田内閣発足時をいずれも下回った。(略)
 内閣支持率は高い方から日経53%、読売49.5%、朝日48%、毎日45%の順。いずれも福田内閣発足時と比べ、5ポイント(朝日)から12ポイント(毎日)低いスタートで、与党が「目標値」(幹部)としていた6割に届かなかった。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080925-OYT1T00903.htm(2008年9月26日03時01分 読売新聞)
麻生内閣の発足を受け、読売新聞社が24日夜から25日にかけて実施した緊急全国世論調査(電話方式)によると、内閣支持率は49・5%、不支持率は33・4%だった。
 内閣発足時の支持率としては、福田内閣の57・5%を下回った。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080926/stt0809261143008-n1.htm(2008.9.26 11:41 産経)
麻生内閣誕生を受け、産経新聞社はFNN(フジニュースネットワーク)と合同で25日、世論調査を実施した。内閣支持率は44・6%で、発足直後の支持率としては福田康夫前内閣の55・3%を下回り、平成5年の細川護煕内閣以降の10内閣のうち、下から3番目という低水準となった。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080926/stt0809261241012-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080926/stt0809261245013-n1.htm

歴代内閣発足直後の支持率(中日新聞

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/ntok0069/list/CK2008092602000200.html

21世紀政治臨調の提言

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080925-OYT1T00608.htm
学者や経済人らでつくる「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)共同代表の佐々木毅学習院大教授らは25日、都内で記者会見し、次期衆院選を「歴史的な政権選択選挙」にすべきだとする緊急提言を発表した。
 そのための条件整備として、政権公約マニフェスト)の充実などを求めるとともに、衆院選後の「ねじれ国会」への対応策として、衆院選で勝利した政党の政権公約を尊重する「衆院選決着の原則」の確立を求めた。
 提言では、政策論争について、首相候補同士の党首討論実施と連立与党の閣僚と、民主党の「次の内閣」のメンバーによる討論実施を求めた。マニフェストの内容としては、〈1〉それぞれが目指す日本社会の将来像と時代認識〈2〉政策の体系〈3〉政策の優先順位と実現手順〈4〉財源などの裏付け〈5〉内閣や政権運営の具体的なプラン――を挙げた。(2008年9月25日19時20分 読売新聞)

新しい日本をつくる国民会議-21世紀臨調-オフィシャルホームページ
総選挙に向けての緊急提言【PDF】

民主党は26日、次期衆院選政権公約マニフェスト)の原案を固めた。
政権公約工程表
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080927-OYT1T00025.htm?from=main3


共同通信2008衆院選特集
http://www.47news.jp/news/election/shuin2008/

臨時国会召集で気になる民主党の対応

まあ、杞憂で終わればよいのだが。。。やはり気になるので、メモ書き程度に残しておこう。

本日、臨時国会が召集された。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date1&k=2008092400063
第170臨時国会が24日召集された。会期は11月30日までの68日間。与野党とも来月上旬の衆院解散を想定し、選挙準備を急いでおり、首相に指名される麻生太郎氏の判断が焦点だ。
 開会式と首相の所信表明演説は29日、各党代表質問は10月1日から3日間行われる。麻生氏は総合経済対策を盛り込んだ29日に提出予定の2008年度補正予算案の成立に意欲を示している。これに対し、事故米の不正転売問題などで「麻生政権」を追及したい民主党は、麻生氏が補正予算案の審議をせず衆院解散に打って出ることを警戒しており、冒頭から与野党の駆け引きが展開されそうだ。 (了)

この記事の中で気になるのは、

麻生氏は総合経済対策を盛り込んだ29日に提出予定の2008年度補正予算案の成立に意欲を示している。

他方、

民主党は、麻生氏が補正予算案の審議をせず衆院解散に打って出ることを警戒しており、、

僕の判断では、麻生氏は、補正予算の審議をせずに衆院解散に打って出るつもりなどこれっぽちもない。むしろ、補正予算の成立に強い意欲をもち、かつ、あくまで状況次第であるが、うまく乗り切れるのであれば、そのまま解散せずにあわよくば来年度予算成立まで政権運営を続けたいと思っているのではないか。

なぜ、民主党補正予算の審議をせずに麻生総理が解散に打って出ると思い込んでいるのか?
何か根拠があるのだろうか?

こうした判断に基づき、民主党の国対は次のような対応をとろうとしている。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2008092300461
民主党山岡賢次国対委員長は23日、さいたま市で講演し、次期衆院選の時期について「10月21日公示−11月2日投開票の線が極めて濃くなってきている」と述べた。11月9日投開票に関しては「同4日に(米大統領選で民主党の)オバマ氏が勝ちそうな気配だ。同5日には(収賄などの罪に問われた)守屋武昌前防衛事務次官への判決も出るから、与党にとって非常にまずい」と指摘した。
 また、山岡氏は自民党麻生太郎総裁が2008年度補正予算案の審議引き延ばしをけん制したことについて「自民党が(衆院選で)惨敗する恐れがあるから、内心では引き延ばしてくれと思っている感じがするが、その手には乗らない」と述べ、審議引き延ばしはしない考えを改めて示した。

ここで気になるのは、

自民党が(衆院選で)惨敗する恐れがあるから、内心では引き延ばしてくれと思っている感じがするが、その手には乗らない」と述べ、審議引き延ばしはしない考えを改めて示した。

という点だ。

一昨日の日記にも引用したが、報道で見る限り、麻生氏の立場は、

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/179810/
「緊急だから緊急経済対策と言っている。ぜひ通させてもらいたい。できれば衆院解散はその後だ」と述べ、補正成立に意欲を示した。

と、補正成立を強く望んでいる。


問題は次の点にある。(というか、僕が良くわからないのは次の点だ。)


仮に、補正予算が(民主党の協力で)早期成立した場合、本当に麻生総理は解散に踏み切るのか?
補正予算が早期に成立すれば、ただちに解散に踏み切るとなぜ断言できるのか?


先ほど引用した記事で民主党の山岡国対委員長は次のような観測を示している。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2008092300461
民主党山岡賢次国対委員長は23日、さいたま市で講演し、次期衆院選の時期について「10月21日公示−11月2日投開票の線が極めて濃くなってきている」と述べた。11月9日投開票に関しては「同4日に(米大統領選で民主党の)オバマ氏が勝ちそうな気配だ。同5日には(収賄などの罪に問われた)守屋武昌前防衛事務次官への判決も出るから、与党にとって非常にまずい」と指摘した。

11月中の解散総選挙を想定するからこういう発想になるだけではないのか?
年内の解散はないと想定すれば、オバマ勝利も守屋判決も総選挙に影響しない。

国対だけの話かと思っていたらそうでもない。臨時国会への対応をめぐって民主党内に異論はないように見受けられる。誰もが補正成立に協力すれば解散してくれると信じているかのようだ。

代表代行については、一昨日の日記に引用したとおりであるが、再度引用しておこう。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2008092100079
民主党菅直人代表代行は21日、NHKの討論番組に出演し、自民党麻生太郎幹事長が臨時国会で2008年度補正予算案の早期成立を目指す考えを示していることに関し、「予算を(審議)引き延ばしの材料にするのでなく、ある程度のところで決着を付けることは約束できるのではないか」と述べた。
 菅氏の発言は、衆院解散・総選挙を前に政府・与党追及の場を確保するため、審議の引き延ばしはせず、予算案の早期成立に事実上協力することに前向きの姿勢を示したものだ。 


幹事長についてはこう報道されている。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2008092200799
民主党鳩山由紀夫幹事長は22日午後、臨時国会での2008年度補正予算案への対応に関し「修正するとか、一部には賛成する可能性はある。だからこそしっかり議論すべきだ。われわれの考え方を入れて成立させていくやり方だってあるのではないか」と述べ、修正協議に前向きな姿勢を示した。都内で記者団の質問に答えた。


さらに、今日の報道では、こうだ。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2008092300652
民主党は24日午後、小沢一郎代表や鳩山由紀夫幹事長ら幹部が2008年度補正予算案への対応を協議する。同党は、政府が29日に提出予定の同予算案の審議を通じ、事故米の不正転売や厚生年金の標準報酬月額改ざん問題などで「麻生政権」を追及した上で、衆院解散に追い込むことを狙っている。審議に入らないままの衆院解散を避けるため、審議の引き延ばしはせず、速やかに採決に応じる方針を確認する見通しだ。 
 同党の山岡賢次国対委員長は23日のさいたま市内での講演で「自民党は(衆院選で)惨敗する恐れがあるから、内心では引き延ばしてくれと思っている感じがするが、その手には乗らない」と述べ、早期の採決に協力する姿勢を強調した。
 補正審議の予算委員会の日程について、民主党は10月6日から衆参両院で2日ずつとすることを与党に提案しており、鳩山氏は22日、政府・与党との修正協議に前向きな考えを示し、輿石東参院議員会長も「審議拒否も引き延ばしもしない」と明言している。

要するに、衆参2日ずつの修正協議を経て、補正成立に協力、そして解散というシナリオだ。


果たして、このシナリオどおりにいくだろうか?

民主党が「早期の採決に協力する」ことは、むしろ総選挙の先延ばしに協力することにならないのだろうか?

麻生氏は、次のようにも述べている。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=200809/2008092000018
補正予算案が(衆院で)1日(参院で)1日で上がるなら10月26日もあり得る。ぐじゃぐじゃになって先延ばしになるかもしれない」と語った。 
 また、民主党補正予算案を衆参両院で採決した上での「話し合い解散」を提案していることに関しては、「何日も(国会の)空白が続くのは避けなければならない」と述べ、同党が補正予算成立に抵抗する場合は、成立前解散もやむを得ないとの認識を示唆した。

改めて確認しておきたいのは、次の点だ。

第一に、解散権はあくまで麻生総理の側にある。

第二に、総選挙を行えば自民党は確実に議席を減らす。

すなわち麻生政権にとって、総選挙を行うことは、今より不利な状況をつくりだすことにほかならない。
それゆえ、麻生政権にとっては、できるかぎり総選挙を先延ばしにすることが政権存続にとってリスクの少ない選択となる。

政権与党(自民党公明党)の議員にとっては事情は異なる。できるかぎり負けが少ない(議席が減らない)タイミングで解散して欲しいという圧力が存在する。

結局、総選挙のタイミングは、自公議員の圧力と麻生政権との間の妥協によって決まる。
補正成立への協力は、民主党が総選挙のタイミングの決定に影響を与えることにはつながらないのではないか。

ただ言えることは、総選挙をするしないにかかわりなく、補正の早期成立は麻生政権にとって有利であるということだ。

民主党の協力を取り付けて、補正を成立させればある程度のフリーハンドを握れると麻生氏が考えないはずはない。解散についてはそれから考えても遅くないとの判断だ。すなわち、麻生総理の中で解散日程はいまだ白紙である。

自民党細田幹事長は次のように述べている。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2008092300176
自民党細田博之幹事長は23日午前のNHK番組で、次期衆院選に関し「(麻生太郎総裁は)景気対策補正予算をまずは優先させ、その後にまた考えていくということなので、早期解散ありきで議論してはいない。野党が補正予算成立を阻止すれば、若干時間がかかることがあり得る」と述べた。当初与党内で調整してきた10月26日投開票の日程が11月以降に先送りされる可能性があるとの見方を示したものだ。

麻生総理も自民党執行部も早期解散は考えていない。

あまり気にすることもないのかもしれないが、森元首相にいたっては次のように発言している。

http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=pol_date2&k=2008092300023
森喜朗元首相は22日午前(日本時間同日夜)、麻生太郎新総裁の誕生を踏まえ、衆院解散・総選挙の時期について「新総裁に期待されるのは経済対策だ。来年度予算をつくり、可決するのがベストだ」と述べ、2009年度予算成立後が望ましいとの考えを重ねて示した。

解散総選挙は、来年度予算成立後、すなわち来年4月以降の解散でかまわないとの認識だ。

だが、普通に考えれば、当然の認識だ。

この認識に対抗するのは、与野党議員と国民からの早期の解散総選挙を求める圧力しかない。



再度改めて確認しておきたい。

第一に、解散権は麻生総理の側にある。

第二に、総選挙を行えば自民党は大幅に議席を減らす。

したがって、麻生政権は可能な限り総選挙を先延ばしにしようと試みるはずである。


国民も野党も、このことを前提に行動しなければならない。

麻生総理で総選挙が遠のく可能性

本日午後には、新しい自民党総裁が選出される。予想通り(予想以上?)の圧倒的大差で、麻生太郎が選出されることになる。24日には臨時国会が召集され、麻生総理が誕生する。

ところで、解散権は総理の専権事項という建前とはうらはらに、総裁選の最中から総選挙日程が決定事項であるかのようにマスコミに流れていた。
麻生政権が何を実現するかということよりも、自民党が政権を維持することにしか関心がない−そのなかで自分が一定の地位と権益を保つことにしか関心がない−「にわか麻生支持の自民党有力者たち」が、かなり意図的に情報を流していたようにも見受けられる。


総裁選の勢いを重視して早期に衆院解散というシナリオは、総裁選の勢いが思ったほどの効果を発揮していない状況からすると、それほど磐石のシナリオではない。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080913-OYT1T00013.htm

10月上旬の衆院解散を予定している自民、公明両党は、衆院選の日程をできるだけ前倒しすることとし、「10月14日公示―26日投開票」で実施する方向で調整に入った。
 複数の与党幹部が12日、明らかにした。自民党総裁選の勢いを維持したまま衆院選に突入するには、選挙までの期間をできるだけ短縮した方が有利、との判断からだ。衆院の解散は、新首相の所信表明演説に対する各党代表質問の終了直後の10月3日にする方向だ。
 最終的には、総裁選で選ばれる新総裁(首相)が決定する。

http://www.asahi.com/politics/update/0918/TKY200809170332.html


だが果たして、麻生総理は、10月上旬の解散、10月26日投開票というシナリオどおりに「決定」するだろうか。

ちょっと前に、こんな記事を書いておいた。
衆院解散。麻生総裁なら、来年にずれ込む???w - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム

森元首相の言動はどうあれ、解散は総理の決断で決まる。

自民党の一部有力者や公明党にとっては、麻生政権がどうなるかにはさほど興味がないようである。彼らは総選挙で−自公連立で政権を失わない程度に(あるいは、自分の議席を失わない程度に)−勝てればよいのである。麻生政権が短命となろうが知ったこっちゃないという雰囲気である。

ちなみに、臨時国会は24日に召集される。同日中に首相指名選挙、29日に新首相の所信表明演説、10月1、2日に各党代表質問を行う。会期は11月30日までの68日間である。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080919-OYT1T00375.htm

代表質問直後の解散というのが、有力なシナリオとされてきたが、ここにきて解散時期をめぐっては、いくつか気になる情報が出ている。

一つは、「リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)や事故米年金記録改ざんと続出する問題」の影響である。

http://www.asahi.com/politics/update/0917/TKY200809160313.html

麻生政権の「賞味期限」内に臨時国会冒頭解散・総選挙へ――が与党戦略だ。自民党内では麻生氏圧勝の流れに乗って「10月26日投開票」の短期決戦を期待する見方も出ている。
 しかし、リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)や事故米年金記録改ざんと続出する問題が影を落とし始めた。
(中略)麻生氏は16日、リーマン破綻について「影響が大きすぎるところに全く何もしないで放置するやり方が正しいやり方かというと、大きな疑問がある」と米政府の対応を疑問視。

冒頭解散のシナリオに対して、年内解散はないと指摘していたジャーナリストもいる。
http://www.uesugitakashi.com/archives/51502664.html
http://www.uesugitakashi.com/archives/51503401.html
http://www.uesugitakashi.com/archives/51504280.html

「解散よりも緊急経済対策が急務」「冒頭解散とか、早期解散とか、そんなことはありえません。緊急経済対策を仕上げてから、考える。当たり前でしょう」という麻生氏の発言は、リーマン破綻などの影響の中、説得力を増す可能性が高く、早期解散のシナリオは覆される可能性が高くなってきている。


そもそも麻生氏自身は、早期解散よりも実績をあげてから解散したいと思っていたと思われる。ある意味そう思うのは当然であって、自分の政策と実力に自信を持っていればいるほど、総理になってすぐ解散したいとは思わないだろう。実績を上げて、支持率を上げて、それから解散したいと思うのはごく当然の感覚だと思われる。

その際の問題は、本人の意に反して、実績も支持率も上がらない場合に、解散のタイミングを失うということだ。

もちろん、実績と支持率が上がれば言うことはないし、麻生政権がそうならないとは言えない。野党の対応も鍵を握っている。野党が対応を誤れば、麻生政権の支持率は上昇する可能性がある。


先日の日記にも書いたが、「自民党にとって最善の解散、総選挙の時期は、臨時国会冒頭である。」
この考えは、いまのところ変わっていない。ただし、野党が麻生政権を追い込み支持率を低下させるという条件付きである。

いわゆる「ねじれ国会」の現状においては、野党側の対応にもよるが、政権がどうあがこうがうまくいかず、結果、支持率がどんどん下がる状況にある。自民党の戦略としては、支持率の一番高い時期に解散すべきである。
臨時国会冒頭解散!〜いざ、総選挙による首相選びへ! - たかはしはじめ日記 政治学者 高橋肇のメモランダム

さて、麻生総理が解散権を行使しないで、補正予算の成立からさらには通常国会まで射程に入れ始めた場合、すなわち解散を先延ばしする方針をとった場合、野党はどう対応すべきか。

野党の対応いかんでは、麻生政権は浮上する。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2008092100079

民主党菅直人代表代行は21日、NHKの討論番組に出演し、自民党麻生太郎幹事長が臨時国会で2008年度補正予算案の早期成立を目指す考えを示していることに関し、「予算を(審議)引き延ばしの材料にするのでなく、ある程度のところで決着を付けることは約束できるのではないか」と述べた。

政局オンチぶりはいまに始まったことではないが、せめて10年前に金融再生法案での対応の誤りから自自連立を導いた苦い経験を思い出してほしいところだ*1



麻生氏は次のように述べている。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/179810/

平成20年度補正予算案について「緊急だから緊急経済対策と言っている。ぜひ通させてもらいたい。できれば衆院解散はその後だ」と述べ、補正成立に意欲を示した。ただ、「相手が審議に乗ってくるかは別の話だ。乗らないという話もある。これまで何度もだまされてきた」と指摘し、民主党の対応次第では冒頭解散に踏み切る可能性も示した。

もうひとつ。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date3&k=2008092000018

 その一方で次期衆院選の時期に触れ、「補正予算案が(衆院で)1日(参院で)1日で上がるなら10月26日もあり得る。ぐじゃぐじゃになって先延ばしになるかもしれない」と語った。 
 また、民主党補正予算案を衆参両院で採決した上での「話し合い解散」を提案していることに関しては、「何日も(国会の)空白が続くのは避けなければならない」と述べ、同党が補正予算成立に抵抗する場合は、成立前解散もやむを得ないとの認識を示唆した。(了)


要するに、補正予算成立に民主党が協力した場合には(話し合い解散を約束したとしても)「ぐじゃぐじゃになって先延ばし」にすることもありうるが、「同党が補正予算成立に抵抗する場合は、成立前解散もやむを得ない」という認識だということだ。


「政策より政局」を重視するのが誤りだとすれば、「政局よりも政策」を重視するのも誤りである。政策を実現するためには政局を制することが必要である。郵政民営化がよい例だ。郵政民営化という政策を実現できたのは政局を制したからに他ならない。同じ総選挙で民主党が主張した年金政策がいまだに実現できていないのは、政局を制することに失敗したからだ。よい政策だから実現されるというのは政治的には正しくないのである。


政局を制せずして政策は実現できない。政策力と政策実現力とは違う。

負け犬の遠吠えにならないためには、政策力だけでなく政策実現力(政局を制する力)が必要である。結婚願望だけでは結婚できないのと一緒である。


民主党は、下手な話し合いや妥協に応ずることなく、政権交代抜きに一切の問題は解決しないとのこれまでの姿勢を堅持すべきである。すなわち、補正予算審議前の早期解散総選挙を要求すべきである。


追記:こんな記事を書いていたら、こんなニュースが。。。汗

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080922/stt0809221131006-n1.htm

民主党山岡賢次国対委員長ら野党4党は与党側に対し、24日召集の臨時国会で政府・与党が検討している月内の衆院解散に反対し、平成20年度補正予算案の審議を行うよう要求した。

野党側はもともと冒頭解散を望んでいなかったのだから、こういう対応もわからなくもない。だが、麻生政権を甘く見るとせっかくの政権交代のチャンスを逃すことになるかもしれない。

*1:このときの状況を、例えば森田実は次のように描いている。「98年7月12日の参院選で大きく変化した政局の流れは、9月末の民主党を中心とする野党共闘の崩壊を契機に逆転した。「民自公」主導の時代は終わった。自民党は、参院選敗北、橋本内閣総辞職、不人気な小渕政権の成立の過程で国民のきびしい批判にさらされつづけた。他方で、参院選の勝者の野党第一党民主党は人気急上昇で、政局の主導権は菅直人民主党代表が握った。こうした政治状況下で、7月30日の首班指名選挙では自由党共産党が第1回投票から菅直人民主党代表に投票した。衆議院は小渕自民党総裁を指名したが、参議院菅直人を指名した。そのうえ、金融再生法案の審議では民主、自由、平和(公明)の三野党共闘が実現した。7月末から10月中旬に至る臨時国会における最大課題の金融再生法制定において民主党は主導権をとり政府自民党を押しまくり、野党三党案を丸飲みさせた。このときが民主党の絶頂期であった。だが絶頂期において三野党共闘は躓く。菅代表は経団連今井会長との会談の席上「金融問題を政局にしない」と発言した。この発言は臨時国会での小渕内閣打倒を狙っていた自由党を失望させた。この「舌禍」事件を契機にして自由党民主党との共闘から腰を引きはじめる。そして自民党と野党の金融再生法協議から離脱した。金融再生法問題をめぐる自民、民主、新党平和(公明)の三党協議が始まると、自民と平和(公明)が急接近し、民主党は孤立状況に追い込まれた。民主党主導の政局は一瞬にして逆転し、「自公協力」主導に変わったのである。民主党から離れた自由党も政府・自民党との関係も「歴史的和解」に向かって進みはじめる。野田幹事長、二階国対委員長らの自由党幹部と政府・自民党幹部との公然・非公然の接触が重ねられた。こうした経緯を経て、自民、自由、公明のゆるやかな協調体制が形成され、民主党孤立の政治状況がつくられた。」「森田実の時代を斬る」98.10.29政局は動く/「自自公」VS民主の時代へ    また、鈴木淑夫議員(当時自由党)は次のように書いている。「異例づくめの第143臨時国会は、1週間の会期延長のうえ、10月16日(金)、79日間の会期を了えた。この国会は、7月30日から開かれ、夏休み返上で秋の深まる頃に終わったという点で、まず時期的に異例の国会であった。金融問題の処理が切羽詰まっていたためだ。しかし何よりも異例であったのは、冒頭の首班指名において、衆議院が小渕首相、参議院菅首相を指名したことだ。7月の参院選自民党過半数を失ったためであるが、これがその後の異例の審議経過を暗示していた。会期前半には、菅首相に投票した民主党、平和・改革、自由党の野党3会派が結束した。1ヵ月に及ぶ野党3会派の「実務者協議」と「政策責任者協議」の結果、野党3会派は金融機関の破綻処理の枠組みについて合意に達した。政府・自民党提出の金融安定6法案に対抗して、野党3会派は金融再生4法案と信用保証協会法等改正案の5法案を共同提出した。私は自由党の実務者として終始野党協議に参加して法案作成に関与し、自由党を代表して法案提出者の1人となった。このため、衆議院の金融安定化特別委員会で6回、参議院の本会議で1回、参議院の金融経済特別委員会で4回、計11回も法案提出者席(通常は大臣の席)に座って与野党議員の質問に対して答弁した。参議院でも答弁することになったのは、政府が自ら提出したブリッジバンク法案を取下げ、野党3会派提出の金融再生4法案にブリッジバンク方式を付け加える形で共同修正し、衆議院で可決、成立させたからである。これが、所謂「野党案丸呑み」である。この法案修正、成立過程は、政府提出法案が取下げられ、野党の議員立法与野党が共同修正したという点で、憲政史上異例の出来事である。その過程では、野党議員が衆議院法制局を使って立法し、内閣法制局や大蔵省などの官僚があまり関与しなかったという典型的な「政治主導」であった。野党3会派の共同提出法案を政府が「丸呑み」し、その修正過程では8月、9月の2ヵ月にわたって野党第1党の民主党に引きづり回された自民党、平和・改革、自由党は、会期の後半に入って違う動きを始めた。ここから野党3会派の結束がほころびたのである。そのきっかけは、第1に、菅民主党党首が「長銀問題は政局にしない」と述べたことである。それまで政府は、「長銀が破綻したら日本発の金融恐慌が起こり兼ねない」「長銀債務超過ではない」「長銀には公的資金を注入し、住友信託と合併させて救済する」といい続けていた。しかし実際には、長銀債務超過であり、公的資金を入れるわけにはいかず、住友信託との合併話も白紙に戻り、公的管理によって破綻処理されることになった。それにも拘らず、日本発の金融恐慌どころか、市場の動揺も起きていない。小渕首相、宮沢蔵相を始めとする政府の国会答弁は、食言となった。これを追求すれば、小渕内閣は間違いなく退陣に追い込まれたであろう。ところが野党第1党の菅党首が「政局にしない」と言ったばかりに、それが出来なかった。小渕内閣を倒せば、自民党の反執行部派の動き次第では、、菅内閣が出来たかもしれない。菅直人は「長蛇を逸した」のである。菅首相の芽は消えた。そうなると第2に、首班指名菅直人と書いた平和・改革と自由党は白けてくる。特に金融再生法案の修正過程では、民主党が独走して政府・自民党と勝手に交渉し、野党3党合意を逸脱する妥協をした。それは、破綻金融機関を公的資金で救済しないという3党合意にも拘らず、預金保険法上の破綻宣告なしに破綻しかかった銀行を国有化し、公的資金不良債権を取除いた上、再び民間に売却するというルートを自民党との法案修正によって開いたことである。これは政府・自民党が、長銀処理を頭に置いてやったことだ。自由党はこの野党合意違反を政策の基本に係わるものとして重大に受け止め、金融再生法案の修正交渉から離脱し、修正部分に対してのみ反対票を投じた。民主党の独走に不信感を抱いたのは、首班指名菅直人と書いた平和・改革や自由党だけではなかった。修正過程で次々とバーを引上げ、くるくると意見が変わり、党首と実務者のどちらの意見が正式か分からない「司令塔不在」に引きずり回された自民党は、民主党に対して決定的な不信感を持った。後半国会に入って自民党は、民主党を除く他の野党と法案ごとに修正協議を行ない、成立させる戦術に転じた。その結果、金融早期健全化法案は平和・改革及び自由党と、旧国鉄債務処理法案は自由党及び社民党と、それぞれ自民党提出法案を共同修正して成立させた。また破綻金融機関の借り手中小企業に対する信用保証の拡大・充実については、自民党自由党が合意して法案を作成、それに民主党と平和・改革が相乗りして共同提出し、成立させた。この一連の動きが、所謂「部分連合」方式である。この間民主党は、完全に主導権を失った。」第143回臨時国会活動報告

政権維持のための総裁選、政権維持のための総選挙日程

政権維持のための福田首相辞任、政権維持のための総裁選、そして政権維持のための総選挙日程。


福田首相辞任のタイミングは完全に政局を意識したものであったが、その後、自民党総裁選の日程、総裁選への立候補者など、すべては自公政権維持を至上命題とする政局重視のシナリオに従った演出が続いている。

総選挙日程も、政権維持だけを目的に設定されつつある。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080913-OYT1T00013.htm


果たして、日本国民は、与党の描くシナリオ通りに、演出されるがままに投票行動を行うのだろうか。

総選挙で試されているのは、自民党でも民主党でもなく、選挙民かもしれない。


被選挙人(政治家)の質がこんなもんだとすれば、選挙人(国民)の質が試されることになる。


果たして国民は、茶番めいたシナリオと演出に素直に従う面白みのない役者をただ演じるだけなのか、シナリオも演出もないアドリブたっぷりの筋書きのないドラマを展開することになるのか。あるいは、単なる観客にとどまるのか。


すでに幕は上がっている。

衆院解散。麻生総裁なら、来年にずれ込む???w

二つのニュース。


1)自民党総裁選、森氏が麻生氏支持表明
時事ドットコム:森元首相、麻生氏支持を表明=自民総裁選


2)解散「できれば来年度予算成立後に」=森氏
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008090700177



ということで、二つのニュースを結びつけると?



麻生総裁なら、解散は来年になるかもしれませんねぇ〜。



さあ、吉と出るか、凶と出るか。。。。